46:アイサツ#先方親御様とご挨拶したわけだ
俺ことP.N.『
というわけで彼女さんの親御さんに挨拶してきた話をしよう。
親御さんへの挨拶と言うことで若干の緊張の元、カクヨムつながりで知り合った既婚者各位に『親御さんへの挨拶でしたほうがいい事なんじゃいな?』と聞いたタスクを満たした前日。
荷物よーし、お土産よーし。心の準備よーし。
なんの問題もないと胸をなでおろしていた俺であるが、当日朝にちょっとしたイレギュラーがあって使用するリュックの変更を余儀なくされていた。
[以下Line通信]
(;'v'):オカンがどえりゃあ量のそうめんをお土産に用意してるんだが?
(;’A`):(15人前のそうめんの写真)どえりゃあ量だがや……。
(;'v'):あと洗剤が安いから持って帰ってだって。
(;’A`):どえりゃあ量だがや?!
そう、お土産を持たされる俺にはストレージに余裕が必要だったのだ。当日持っていこうとしているのは30リットルのリュック……。とても手土産を持って帰るには足りない。
俺はもらえるものは貰う主義である。なのでなんとしてもお土産のそうめんを持って帰らねばならなかった。
アイラブそうめん。ウィーラブそうめん。この時期そうめん嫌いな子なんていないよね、このクソ猛暑のなかズビトゥルン! がきらいだなんて相当暑いの好きな人に違いない。
ここで問題なのがどのようにストレージを増やすかということ。肩掛けカバンを持っていくにしても、30リットルのリュックにはトートバッグすら入らない。
それに両腕は空けておきたかったので選択肢は1つ。より容量の大きいリュックに変えるというたった1つの冴えたやり方を採用した。ちなみに登山用につかう50だか60リットルの大容量リュックである。ソロキャンプ行けるリュックなので非常に収納が多いのだ。
思えばこれが間違いであったのだろう……詰め替えた俺はここで大安心してしまった。してしまったのだ。
荷物を詰め替えた俺は少し早めに出ようと決めていたので意気揚々と出発した。ガタンゴトンと揺れる電車……荷物はリュック1つ。
リュックひとつ。
リュック……ひとつ?
[以下Line通信]
(;’A`):彼女
(*'v'):どったの?
( ;A;):おみやげわすれた……
(*゚v゚):ブフォオwwwwwwww
そう、大安心して手土産忘れたのである。アホである。お馬鹿さんである。俺のうっかり指数は天元突破だ。何故忘れたのか。詰替えの時も目の前にあっただろう手土産……だからこそアウトオブ眼中だった手土産……。
ここで忘れるとかうっかりにもほどがある。
俺は考えた。考えに考えた。今から戻って取りに戻る? None.大遅刻である。ではどうする? どうする?
[以下Line通信]
(*’A`):彼女
(*'v'):どったの?
(*’∀`):買い直せば良いんや! おい頭いい!
(((*´v`))):せやなwwwプフゥwww
というわけで買い直した。今回の手土産、実は先方が『たべたいなー』とリサーチしていた品物だったのだ。銘を『味の民藝』、銀座あけぼのさんより発売しているチーズおかきである。
そう、芸能人格付けチェックでYOSHIKIが爆食いしていたで有名なアレだ。だから手土産はマストだった。チーズおかき無くしてこのイベントをクリアすることはできないのだ。
そんなイレギュラーな緊張もあってか、電車に揺られる俺に嫌なものがにじり寄って来た。
そう、頭痛である……緊張性の頭痛が襲ってきたのだ。下手すると飯を食ってゲロンゲロンに吐いちゃうクソ症状である。頭痛は死ね。
[以下Line通信]
(;’A`):やばい、ちょっと頭痛
(;'v'):MJD?
(*’∀`):だが大安心である。俺はちゃあんと頭痛薬を持ってきたのだよ!
(;'v'):それもしかして、熱中症じゃないだろうね?
(*’∀`):……
(*’A`):……
(’A`):……
(;’A`):き、きんちょうせいだから……
(;'v'):ヲイ。
そんな茶番をしつつ、無事手土産を手に駅についた俺。周囲はなにもない田畑の聖地イヴァーラキ。すげぇ。広ェ。移動がつらそう。降り立った地でシツレイをかます俺を迎えに来てくれたのは彼女さんのCARである。
(*'v')「おっすおっす!」
(*’A`)「やっほっほい!」
こんな感じで再開した俺たちは一路彼女さんの実家へ。駅から30分ほどブゥーンすると待っていたのはなんとも立派な日本家屋である。
彼女さんのおじいちゃん(故人・大工)が手ずから作ったお家だ。立派度が違いますよ。もちろん木材は劣化しているけど、がっしりした門扉やしっかりした柱はどことなく安心感をくれる。
(*’A`)「立派なお家屋やね!」
(*'v')「そうかい?」
(*’A`)「立派! 立派!」
ちなみに俺の母方じいちゃんばあちゃんの家は、火事で燃える前はわらぶき屋根っぽい家だった。下手すると幕末からあるんじゃねえのってくらい古い家だ。柱とか売るしか燻されてか、真っ黒だったからね。それを経験した俺からするに、家の良さというのは安心できる場所というただ一点に他ならない。
だから迎え入れる、というオーラのある彼女さん実家は良いお家だな~と思ったのだ。そんな感じで玄関へてっくてっく歩いて到着したのでさくっと挨拶。
(*’A`)「こんにちはー」
(*'v')「ただいまー」
(*´v`)「おかえり、いらっしゃいよ」
(*゚A゚).o0(すげぇそっくりやな?!)
母君は彼女氏にそっくりであった。そりゃあそうだろう、母親なんだから。とはいえもう特徴がそっくりで、40歳、50歳になったらこんな感じになるのかな~ということがよくわかる。
そしてなにより気負いのない気さくな方だった。何故ってファーストインプレッションからしてすごかったからな。
(*’A`)「どうもー、彼女さんを貰う予定の水縹ですー」
(*´v`)「娘は返品不可だでよ! クーリングオフはうけつけてねっがら!!」
(*゚∀゚)「ブフォオwwwwww」
(*'v')「アッフォwwwwww」
なぜ吹いたかといえば……事前に彼女さんが『母ならこう言う』という言葉を、一字一句なぞる台詞であったが故だ。これには俺も彼女さんも大笑いである。なるほど確かに強烈な個性だ。
だが彼女さんの母君は我の強い、ある意味濃い味の人ではある。しかし決して頑固にすぎない柔軟な頭の持ち主だ。しっかり娘の心配をする強い母親……今後も頼りにしたいとおもうと同時に、気を引き締めようと強く思った。
さて、挨拶が終わったらもう1つ重要なミッションが控えている。そう、飼っているペットのワンコ君に受け入れてもらうことである。正直俺はペット飼ったこと無いので接し方がわからないのだ。なので予め彼女さんに接し方(まず匂いを嗅いでもらう)を聞いていたのだが……。
(’A`)「どうもー」
(U^ω^)「わんわんお! わんわんお!!」
(;’A`).o0(めっちゃ吠えられとる……まずい)
(U^ω^)「わんわんお!! わんわんお!!!」
(*'v'):そっと犬用おやつを差し出す。
(’A`):受け取って手に乗せて食べさせる。
(U^ω^)「……」
(;’A`).o0(ドキドキ)
(U^ω^)「
(’A`)「ちょろい」
(*'v')「ちょろい」
(*´v`)「ちょろい」
ちょろい。なんてちょろいんだ……その後もなんとなく微妙な距離感でありつつ、翌日には完全に仲良しになった。めっちゃなでまくっても怯えないし、おなかみせてぐでーっとかしてる始末なのだ。
凄くちょろくて食いしん坊な子であった。
一番の懸念がペットとの交流という辺りアレなきがしないでもないが、嫌われるよりはずっと良い。わんこはいい子。はっきりわかんだね。
ただ番犬にはならないな、とは母君の言である。ほんまそうおもう。だってこんなのチョロすぎる。
その後お家の中を案内されたのだが……有るわ有るわ、ディズニー系を筆頭とした数々のヲタグッズと、先祖伝来の甲冑に五月人形雛人形等など……。
(;’A`)「やっぱお嬢様やんけ」
(*'v')「無い無いwww」
(;’A`)「普通のおうちに甲冑はないんですが……?」
(*'v')「せやなwww」
俺も一応は庄屋の孫なんだが……ちょっと格の違いを感じたね。更に気が引き締まる思いである。とはいえ手ずから建てた家なら当然こうなろうという話では有るのだが……モノがモノだけにちょっと気後れした。むむむ、気を取り直さねば。それはそれとして甲冑って格好いいよね……。
ところで彼女さんは3人兄妹の真ん中で、上下に兄弟が居る。そして実家には弟くんが同居しているため、ここで寝起きらしい弟くんとエンカウントした。
(*’A`)「どうもー、姉君の夫予定の水縹ですー」
(;'w')「あっどうも、[名字]です……」
(*゚A゚)「まって此処ン家の人全員[名字]さんやんけwwww」
(*'v')「オファwwwwww」
(*'w')「バフォオwwww」
大変大柄だが、彼女さんに似た飄々とした快男児であった。他人行儀なのは分かるとしても、まさか名字で名乗られるとは思っていなかったので大爆笑だ。なかなか楽しい初対面だったと思う。
ちなみにスプラトゥーンガチ勢らしいので密かに尊敬していたりする。しかもサバゲーもやるしバイクも乗るし整備もできるという。
いい趣味だ、とってもいい趣味である。素直に仲良くしたいと思う。
そんなこんなでグダグダしつつ夕食の時間と相成った。夕食は普段作らない揚げ物やら何やら、4人がけのテーブルに所狭しと並ぶおかずの群れである。ゴクリッ! コイツぁ強敵だぜ!
既婚者諸兄から『沢山お腹をすかせていこう』との助言を受けていた俺の腹はスッカスカだ。ご飯おかわりは当然として……このおかず群をどう始末してくれよう。
とりあえず食らう、喰らう、食らう!! うおォン俺は火力発電所でもねぇが腹ペコもやし野郎だ! 実際美味かったので是非もなし。なんとなく安心する味というか、彼女さんの味付けに似ているからまぁ口にあうわな。
腹12分目ぐらいまで食い切ってけぷーとごちそうさまである。
食後はぐったりしつつテレビを見ながら風呂に入り、母君と二人っきりになったのでちょっとだけお話した。
内容は……まぁ秘密だ。要約すればまぁ、娘をよろしくねっていう話。だからこそ、胸にしまっておくべき事柄であろう。
あとはこうしたイベントで恒例のアルバム閲覧をした。ちなみに20冊ぐらいあるうち、彼女さんのは1冊しかなかった。何故かと言えば他は3兄妹揃ったものばかりだったから。そんな中いろいろ思い出話を聞きつつ――。
(U^ω^)「……」
(*’A`)「キャッキャ」
(*'v')「ウフフ」
(*´v`)「キャッキャ」
(U^ω^)「
(*’A`)「キャッキャ」
(*'v')「ウフフ」
(*´v`)「キャッキャ」
(U;ω;)「
(*’∀`)「ああんもうしかたないなぁああ!!!」
(U^ω^)「
めっちゃなでた。アルバムの後半は母子の思い出話に終始して、俺はワンコをひたすらなでた。かわいい。アホの子かわいい。
だがすまんな、俺の一存ではおやつをやることはできぬのだ。
その後凄く眠くなりつつ、がんばって『はたらく細胞』みてから寝た。母君いわく『わけわがんねぇな?』とのことだが、たしかに中身がないな……。いや、血小板ちゃんがかわいいということだけを愛でるアニメだからして……。中身は関係ないから……。
◇◇◇
こうして翌日である。俺はぐっすり眠れたのだが、いつもどおりスロースターターである。おくすりの影響で午前中は死ぬほど眠いのだ。
で、昨日の夕飯の残りをお昼に食べたり、市役所で戸籍謄本もらったり、婚姻届に署名貰ったりして過ごした。最後の最後に『本当にいいのかい?』と念押しされたがむしろサインしてくれないと困る。
ぶっちゃけ今回そのために来てるまであるからな。
そしてやることやった午後1時。何をしていたか。昼寝である。
それはもうガッツリ昼寝した。暑かったからな、全員ぐっでーんとしていた。都内は40℃とかいったとか言うではないか。こんなもんやる気というやる気が起こるわけがない。
もうあれよな。暑い日は涼しい部屋で昼寝。これ、最強。
そんな感じで寝ていたもんだから、あっという間に帰る時間である。
(*’A`)「じゃあ今後とも宜しくお願いしますー」
(*´v`)「あいよ、よろしくね」
とてもかるーく挨拶をして、非常にゆるゆるに面談を終えたのであった。うん、良い御義母様で大変いいと思う。今後とも相談したり、慶事を報告したりできればいいなぁ。
こうして母君との面談を上手く終えることができたのであった。
ではコンゴトモヨロシク。
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