第31話:山下君との最高の思い出づくり2(202301~3)
そんなある晩、麻雀をしていた山下が、急に咳き込んだ、びっくりして、加藤が、背中をさすった。部屋に帰り、佐島と北山が、枕元に水さしとタオル、ぬれタオルをおいた。山下が悪いなーと言いながら目を閉じて寝た。みんな部屋に戻ったが、佐島が嫌な予感がして寝付けなかった。
北山と加藤も同じだった。翌朝、眠れぬ夜を過ごした3人は、山下の部屋をたずねた、彼は既に起きていたが咳がひどく苦しそうだったのでケアー担当の佐藤和美さんにいって咳止めの薬をもらい、飲ませた。しかし、いっこうに改善しない、そこで9時まで待って加藤が、北山、佐藤和美さんと車で、近くの大学病院の救急へ連れて行った。内科の先生が診察して肺に嫌な感じの影が映っている、癌の転移かも知れなと言った。癌の検査をしてみるので、入院の手続きを取って下さいと言われ佐藤和美さんが書類を書いた。10時半まで検査が行われ病室に運ばれた。北山と加藤が、山下の病室へ行った。
そこで山下が僕はもう長くないかも知れないが先日話した東日本大震災で親を亡くした子供達への募金の件は頼んだぞと加藤に言った。わかった約束は必ず守ると言った。次に山下は北山に老人シェアハウスに入ってきて幼なじみに再会できて、本当に良かったねと言い、おまえら仲良くやれよと言った。いいなー、昔の様に、恋人になって長生きしろよと3人が手をつないだ。北山の目から大粒の涙がこぼれ、わかった、仲良くやっていきますと言った。山下が、おい加藤、こういう時に、しっかり抱き付くんだよと背中を叩いた。あわてて加藤は北村のからだをしっかり抱きしめた。本当に仲良くやれよと、言いながら山下の目から涙がこぼれ落ちた。数分して映画のワンシーンみたいだと山下が言い、みんな本当にありがとうと小さな声でつぶやいた。その後、北村と加藤は山下の病室を出た。ケアー係の佐藤和美さんが、書類と精算を終えましたので帰りましょうと言い、加藤が運転して、シェアハウスに帰った。
部屋に入ってきた加藤に、待っていた佐島がどうだったと言い、加藤が、病院での一部始終を話した。12月も半ばを過ぎて、12月24日、クリスマス、不動産会社の石島さんがクリスマスプレゼントの大きな袋を持ってやってきた。山下さんが病気で入院したと、加藤が、話したところ、石島さんが、必ず、年内に、お見舞いに行きますと言い、山下さんには本当にお世話になってますからと言うのだったが、12月27日にお見舞いに行ったが、病状が悪化して、面会謝絶で、ついに会えなかった。
シェアハウスの庭では山茶花の花が12月になって咲き始め、美しく綺麗な紅い花を1枚、また1枚と開いていった。山茶花の花は、2ヶ月間、長く咲き続け、みんなの目を楽しましてくれるのだ。
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