第27話:シェアハウスでの事件(202112)

 寒い季節がやってきた、今年はインフルエンザの流行が早く始まり、このシェアハウスの近くの小中学校で流行の兆しが見え始めた。大型加湿器を集会場に2台おき、湿度を40%以上に保つようにフル回転していた。アルコール消毒液も2つ置いて利用した。そんな時ケアー担当の佐藤正子さんがマスクをして出勤して来て、風邪気味ですが替わりの人が見つからないので出勤したと言った。しかし午前中で咳がひどくなり熱も出てきたので早退。かわりにシェアハウスのオーナー池川久美子さんがやってきた。もう一人のケアーの鈴木和美さんと2人で面倒みてもらう事になった。翌日から、急遽、佐藤正子さんのかわりに臨時で北川君子さんがケアー担当と言う事で来てくれた。数日後、北村さんと君島好子さんが咳と高熱でダウンした。早速、お医者さんに往診してもらうと、北村さんは軽度で薬をもらったが、君島好子さんは容態が悪く近くのKU病院に入院する事になった。入院5日目に肺炎を併発して君島さんが、あっけなく亡くなってしまった。


 この知らせを聞いたシェアハウスの住人達は一様に信じられない様子で落ち込んでしまった。住人達は全員70才以上で明日は我が身と思い急に落ち込んでしまった。そんな時に佐島米子さんが三年前に旦那さんの佐島一郎を肺炎で亡くした時を思い出して泣き出した。少ししてシェアハウスのオーナー池川久美子やケアー担当の佐藤正子さんが、じっくり話を置きいてあげる事によって佐島米子さんも、やっと気持ちを落ち着ける事ができ泣き止んだ。ごめんね、みんなが沈んでいる時に泣いてしまってと謝った。


 翌日、すっかり元気なった佐島米子がシェアハウスの女性達と組んで自分たちを励ますために「コーラスの昨夜」という音楽会を開いた。彼女たちの澄んだ声に勇気づけられシェアハウスの住人達に、いつも通りの明るさが蘇った。週末には北村さんも熱が下がり、すっかり回復した。その後、全員で、うがい、手洗いを励行して風邪、インフルエンザを予防していた。


 12月24日、クリスマスイブに不動産会社の石島さんが、大きなクリスマスケーキと、ケンタッキー

フライドチキンの箱をもってやってきた。メリークリスマスと、おどけていった。すると佐島米子さんが手をそこの消毒石けんで洗って、うがい液でうがいして下さいと言った。石島さんが、ごめんごめん、と言いながら、手早く手洗いと、うがいをした。この様子を見ていた住人達が大笑い。


 その後、いただいた、クリスマスケーキを切り分けて、みんなで、ご馳走になった。石島さんが、今年は皆さんに協力してもらって新しい仕事の方針も決まったし、昇進できたり、最高の年でしたと話してくれた。また来年も宜しくねと言うと石島さんを数年後には部長さんにしてあげないとねと、北村が笑いながら言うと石島さんが、しおらしく皆さん宜しくと、と頭を下げるのを見て会場から大きな笑いの声が響き渡った。そんな、いろいろあった2021年も暮れていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る