第23話:沖縄シェアハウス体験宿泊2(201112)

 沖縄の出生率が全国1位というのは頷ける。泡盛をすすめながら、あけみさんの話を聞き続けた。最初は高校を出て大きな屋敷に奉公に出て、お手伝いさんをしていたんですが、そこのご主人が、ある晩、私の寝床に入ってきて、できちゃったんですと、あっけらかんと言った。続けざまに4年で3人でき、これが奥さんにばれて家から出されました。次に、実家に帰り1年、体調ももどったので、給料の良いバーの

仕事を始めたんです。働き出して2年目、同じ年齢のトラックの運転手の彼氏ができ、良く遊んだ、そして、また子供が3人できた。彼氏の安アパートで一緒に暮らしだした。


 ただ運転手の給料が安いので、彼は私たちのために無理して寝る間も惜しんで働いてくれたんです。本当に良い人でした。一番下の子供が3歳の時、無理がたたって居眠り運転でトラックごと海におちて死んだんです。この時は、本当に悲しかった子供を連れて心中しようかとも思ったくらいです。それでも生活費を稼ぐためキャバレーで毎日、働いた。


 そんなある日40代のメガネをかけた賢そーな人が私の話を親身になって聞いてくれ慰めてくれた。そのうち彼の家に出入りする様になっていった。彼は41歳で、昔、奥さんを米軍の兵士に殺されて、その後、独身を通していたそうです。大学の教師だったようです。彼の優しさにほだされて、また身ごもって続けて子供が3人できた。しかし多くの子供をじゃけんにする事もなく、大事に育ててくれたんです。

 彼が47歳の時、家で突然倒れ電話かけて救急車を呼んだんですが、急性心筋梗塞であっという間に亡くなった。彼の遺品を整理していると生命保険の証書が出てきて、電話すると死亡保険1千万円が出るというので必要書類を用意して送ると私の口座に入金された。そのお金で実家を増改築して現在、両親と私たち10人と両親の合計12人で生活していると言った。この話を聞いていた佐島さん北山さんが涙を流しながら彼女の苦労話を聞いていた。


 思わず良い話を聞かせてもらってありがとうと山下が言い、これ少ないけどと1万円、渡すと残りの3人も1万円ずつ出して、あけみさんに渡した。いや、こんなに、お金もらう訳にはいかねーと言った。すると山下がいや、あなたに渡すんじゃなくて、お子さん達に何か買ってあげなさいと言うと、あけみさんは内地の人にも、

こんなに良い人達がいるんだねーと頭を下げた。申し訳ない、ありがとうと言い、受け取ってくれた。つまんねー話して時間も遅くなったので、これで失礼しますと帰った。なんか泣けて、泣けて、喉が渇いたと言い残った泡盛を加藤さんと飲み干した。北山さんが本当に小説にでもなりそうな、あけみさんの人生ですねと、しんみりと言った。話のきっかけを作った張本人の山下さんは飲み過ぎて布団に入って寝入ってしまった。加藤さんも眠そうなので床についてすぐ寝た。


 翌朝、朝早めに起きて厚着をして海岸を見に言った。朝日が昇るのが本当に美しく神々しい感じさえする位、美しい日の出だった。水平線がきれいで本州では、なかなか見る事ができないない景色だった。朝9時過ぎに鈴木さん達が迎えに来てくれた。那覇空港へ送ってもらった。

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