第18話:大洋の村の再開発について1(202104)

 翌週、不動産会社の石島さんから以前、話した、昔の大洋村の再開発について直接、話が聞きたいと山下さんの所に電話が入り火曜日に、話を聞くことになった。

 石島さんが言うには、今まで建てた山梨、南房総、他の老人シェアハウスと老人用アパート近くに集会所を造った施設が好評であり、この際、同業他社を出し抜いて、この領域でトップになりたいと言い、ついては、大洋村に多くの施設を建てたいので、早急に図面を書いて、建ててしまえと言う雰囲気になっていると言う。

 それを聞いた山下圭介、加藤圭、北山さゆり、佐島米子たちは、確かに、建てても入居者が集まらないと、負の不動産になるからねと、冗談半分に笑った。

すると、いつも温厚な石島さんが笑い事じゃないんですよ、どうしたら良いか本当に、困っているんですと言った。


 山下さんが、しかし行ったことも見た事もないのでわからないよと言い返した。

既に一区画は作ったので4人で体験宿泊して意見を聞かせて欲しいと頭を下げた。

 わかりました、何日、宿泊するんですかというと最低2泊、お願いと言った。

 アンケート用紙を見ると、病院への距離、雰囲気、最寄り駅までの距離

、時間、スーパー、郵便局、温泉、娯楽、良い点、問題点。作るとしたらアパート形式か、シェアハウス形式と書いてあった。山下が仲間3人と話して来週の火曜日ならOKと言う事で、朝8時に迎えに来る事に決まった。


 当日は、小雨後、曇りだった。高速道路を通り約2時間半でついた。山下が旧大洋の里・別荘地はと言うと、国道51号線から防風林の中に点在してますが、ほとんど廃墟で見に行かない方がいいと言った。是非見たいというので細い道を海辺に向かうと小さな別荘が朽ち果てて荒れ放題で廃墟が多く不気味さを感じた。目の前が、すぐ海という口コミで、実際にそうですが風は強いわ、塩害はひどく、かつて、この地区は建築制限がほとんどなかったので数十万円で掘っ立て小屋を作り、安い別荘作ったんだそうです。建築を知っている人なら家を作る地域ではない事は、すぐわかる。

 値段の安さだけで完売したそうです。


 しかし逃げ足も速く、数年後には購入した人の中古別荘販売広告が多数出ていて大きな問題となった。茨城県が販売業者に立ち入り検査に入ったが、元々、県が、この地区に建築制限をほとんどつけなかったので業者が、無価値の土地を安く切り売りして家を建てた。つまり責任者がいないのだ。単に不良品を売ったのと同じ事。ただ、その商品が別荘と言うだけです。海岸近くで車を降りて歩いてみると数が強くて散歩なんてできる所ではない。(防風林の中に別荘が建ってる感じ)


 この海が外海で荒れて大きな船も座礁したり転覆したりしたそうです。いくら別荘と言っても防風林の中に家を建てるなんて信じられない事だと石島さんが言った。 

 それで石島さんは気が進まないんですねと、山下は言った。石島は商売とは言え、こんな所に悪い物件を建てて売るなんて信じられないとつぶやいた。

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