第15話:老人SHの発表会に出席2(202009)

 分科会で石島さんが昔のニュータウンの空き屋を利用した高齢者シェアハウスも検討中だと言い大洋村のプランについて山下さんに、どう思いますかと意見を求めた。 昔のニュータウンを再生すると言いますが老人シェアハウスばかりでは困ります。老人と若い人達のバランスの取れたニュータウンでなければ入居する気になりません。またスーパーがないと困るし、販売価格が安いと言うだけでは昔の破綻した大洋村と同じになると言った。山下さんが、ですから、町づくり構想を本気で、不動産会社、建築業者が、互いに協力して作り上げていかなければ、簡単にできるとは思えませんと言った。加藤さんが、単なる姥捨て山的な発想では、誰も入居してくれませんと言った。石島さんが、実は私もリスクが大きすぎる気がして心配だと言った。

 まだ本格的な建設は始めていない状態で地元の業者と地価や中古別荘の値段を聞いてる状態であると明かしてくれた。


 山下さんが、昔の経験から成功例を積み上げいった方が間違いないので、その方が良いと思うと言った。リスクをおかして大きな損害を出したら大変ですからと話した。石島さんが貴重な御意見をありがとうございます。会社に持ち帰り事業を再度調査し再検討しますと言った。


 北山さんが南房総や山梨で多くの高齢者シェアハウスを作ったら良いと言い、その方が業者にとっても入居する高齢者にとっても良い事なんじゃないですかと言った。石島さんが、おっしゃる通りかも知れません入居希望者があっての高齢者シェアハウスですからと言い、貴重な御意見ありがとうございますと言った。11時半を過ぎたので、議長が意見も出尽くした様なので、これにて会議を終了しますと宣言し閉会。

 会社が用意してくれた和食レストランで社員さんとシェアハウス体験宿泊者が昼食をとった。昼食後、山下さんが仲間の3人に折角だから午後の高齢者シェアハウスの展示会を見て帰らないかと提案した。遅くならないなら大丈夫と佐島が言った。  

 午後1時に会場を見学すると盛況でパンフレットもらったり入居条件を聞いたりする方も見られた。人気の南房総と山梨の高齢者シェアハウスは、近くの自然や、

大病院、観光地、シェアハウスの外部、内部の写真などが展示されていた。


 その中に、あまり裕福そうでない男性の老人がもっと安く提供してくれる施設はないのかと聞いて回っていた。その人は担当者に雨露がしのげて風呂あり他に布団があれば十分だと言い入居希望者少ない不人気物件でも良いから安くできないと交渉していた。これを見ていた佐島は何か、胸が詰まる思いがして残酷な現実を見たような嫌な気持ちになった。高齢者シェアハウスとか美辞麗句を並べ立てても、所詮は、姥捨ての場所じゃないかと心の中でつぶやいた。その光景を目にした佐島が、たまらず、もう帰りましょうと口走った。北山さんも、少し疲れたから帰ろうと言ったので全員で会場を後にした。自分たちのシェアハウスに帰り食事をとって早めに床についた。

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