第3話『迷宮と恋』

2人は今…迷宮を迷っていた。なぜ迷ったかと言うと

それは今から1時間前迷宮を見つけ試しに入って見た時だ


リン『…こっち』

リンは指を指すがさっきから同じ場所をぐるぐる回ってる気がする

マサト『…いやいやいや!迷ってるよな!さっきから同じ場所ぐるぐると!』


リン『いや、絶対間違ってない。うん確実に』

ドヤ顔をしてグイッとマサトに迫る

深くにもドキッとしてしまうが


マサト『でもなぁ!せめて根拠と言うかそう言うのをだな…』


リン『…そんなの…私がそうだと思ったからだよ』


マサト『なんだその根拠の欠けらも無い理由は!?』


リン『大丈夫、行こう』

マサトの手を握りそのまま引っ張っていく


そして今である


マサト『ほーら!やっぱりィィィィ!迷ったァァァ!だぁーれだっけかぁ!大丈夫って言ったの!』


リン『ダレダッケー』


マサト『お前だ!お、ま、え!』

指をリンに指して


リン『えぇ...』


マサト『全く…』

マサトは喋りながらもある事を考えていた

もし、妹のアカリが成長していたらこんな感じだったのかなと

しかしすぐに考えるのは止めた

また泣きわめきそうになってしまうからである


そして歩いていると目の前に少女が倒れていて


マサト『た、助けなきゃ!』

助けに行こうとした時リンが腕を掴み


マサト『何するんだよ!』


リン『…助けちゃいけない気がする…』


マサト『…はぁ?何を言ってるんだよ!』

忠告を無視してその少女を抱きかかえ


マサト『大丈夫ですか!?』


??『んんぅ…貴方は…一体?』


マサト『俺は…マサトです!とりあえず一体何があったんです!』

少女とマサトが話しているあいだリンは顔が優れておらず


サキ『私は…サキと申します…マサト様』


マサト『様なんて…気軽にマサトでいいよ』


サキ『では…マサトさん』

マサトに優しく微笑みかける

不意にドキッとしてしまい慌ててしまう


マサト『え、あ、うん…』

素っ気ない返事をしてしまって少し視線を外すとムッスリとしたリンが目に入って


マサト『ど、どうしたリン?』


リン『別に…』

不服そうに返事をするが何のことやらサッパリ分からない


サキ『あぁ、宜しければ私が出口まで案内させて頂けないでしょうか?』


マサト『本当に!ありがとう!』

勢い余って手を握ってしまう


サキ『あの…照れてしまいます』

少しサキが顔を赤らめていて


マサト『あぁ!ごめん!』

すぐに手を離して

マサト『じゃ、じゃあ案内してくれる?』


サキ『えぇ、勿論♪』


リン『……』


サキの案内により無事に出口まで着き


マサト『ありがとう!本当に!優しい人だねぇ』


サキ『いえいえ…』


マサトが出口に向かおうとした瞬間

サキが針をマサトの首元に投げて


リン『っ…!』

リンが素早く刀を抜刀し針を弾き


マサト『……え?』

マサトは唖然とした、何で?あんなに優しい人が?と考えた


サキ『もう少しでしたのに…マサトさんと永遠に一緒に居れたのに…』


リン『貴方は…やっぱり只者では無いね…』


サキ『えぇ…名乗らせて頂きましょう。私はソロモン十二人柱が1人、色欲のサキでございます』

先程と変わらない笑みを浮かべるが先程とは異なり圧倒的な威圧感があった

マサトはまるで蛇に睨まれた蛙のように固まってしまった


サキ『それより…私が怪しいと何時お気づきで?』


リン『最初から…』


サキ『あら…』


マサト『最初から!?』

マサトは驚愕したあの時から?自分は全く気づけなかった


リン『ここはあまり人が立ち入らないような迷宮…入るとしても冒険家か興味を持った学者とか……でも貴方はどちらにも見えない。しかもこの迷宮に詳しすぎる、迷宮なら防衛用のトラップがあって当たり前なのに1回もそんなものは見えなかった。いや、見えなかったんじゃなくそれを貴方が避けていた…だから貴方はこので襲われたりしたんじゃなく…ここに住んでるかよく来るかのどちらか…だから怪しんだ』


サキ『へぇ…名探偵みたいね』


リン『でも1つ分からない…何でマサトを狙ったのか…』


サキ『ふふ…そんなの決まってますよ。私はマサトを愛してますから』


マサト『はぁ?!』


リン『…はい?』


サキ『私を助けようなどと思う愚か者は今までおりませんでしたから…婚約者にピッタリだと思いまして…ずぅぅぅっとこの迷宮で二人きり…うふふ…』


マサトは寒気がした、勿論好かれているというのは嬉しいが歪だ、愛の形が歪んでいる


サキ『ですので…貴方は邪魔ですよ。リンさん』

針を大量に一気にリンに向かって投げ


リン『ふっ…!』

リンは華麗に避け続けて


サキ『貴方には愛なんて分からない!貴方は恋も!愛も知らない!』

リンに針が掠ってしまう


リン『はぁ…はぁ…』

針に痺れ薬でも塗っていたのか動きが鈍く

サキ『愛の力は偉大なのです…あはは…はははははは!!』

またもや大量に針を投げて今度は大量に当たってしまい


リン『うっ…!』

リンはその場に伏せてしまう


サキ『愛を知らない貴方は私には…勝てません』


マサトはそれを聞いて1つ思った事があった

マサト『サキさん…それは愛か?』


サキ『…はい?』

ギクシャクした動きで顔だけこちらを向く


マサト『愛ってのはお互いの良いも悪いも認めあって、無理せず付き合い続ける事じゃないのか?アンタは自分の想いを一方的に押し付けてるだけだ!そんなの愛でも恋でもない!ただの幻想だ!』


サキ『ソンナノ…カンケイナイデスヨ…貴方は私と結ばれる運命なんです…受け入れなさい!』


リン『貴方は…可哀想…』

リンが隙をついて刀で腹のあたりを斬り裂く


サキ『うぅ!?』

血が流れだしてくる


リン『私は…愛も恋も知らないけど…友人ならそこに居る…友達なら知ってる…暖かくて…楽しいもの』


サキ『ふ、ふふ…貴方は生きているだけで周りを傷つけます…それをゆめ忘れぬよう…』

そのままサキは息を引き取る


リン『……』


マサト『気にするなよ!リン!あんな奴の言葉なんかさ!』

背中を勢いよく叩いて


リン『っ!?』


マサト『さぁ、続けようぜ。俺達の旅を』


リン『……うんっ』


そのまま俺達は明日へと歩き出した


〜迷宮と恋〜

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