第2話『少女と刀』
マサトは唖然としていた、何故なら目の前で自分の家族達が殺されてしまったからだ。
しかし、目の前にはマサトの事を殆ど知らないにも関わらず助けようとしている少女がおり
頭が混乱している。無理も無い、今まで誰も助けてもらえずそれが当たり前に育ったのだから
マサトはごく一般的な家庭の子供である。
普通に教育を受け普通に親の愛を受けて育って来たのだ。学校を卒業したら親の商店を手伝う事にし、周りからの評判も良かった。
しかし、マサトは少し今の自分の生活に退屈していた同じ毎日同じ風景うんざりしていたのは事実だ。だが世話になった親に恩を返さなければいけないと考えておりまだ幼い妹もいる為軽率に言えなかった。
しかし、今はその家族は居ない。マサトの心には後悔、悲しみ、憎悪など様々な感情が渦巻いていた。
リン『…っ!』
リンは斧で斬り掛かられるも上に華麗にジャンプし敵の後ろにフワッと降り立つ
リン『…貴方は…誰…』
メカメカしい鞘から刀を抜刀し敵に刀を突き付ける
??『へっ…教える訳ねぇだろ!ここでお前らは死ぬんだからな!』
また大きく斧で斬り掛かるが大振りで隙が多い
リンにとって避けるのは造作もない
しかし、リンの後ろに犬が来てしまいこのまま避けると犬に当たってしまうかもしれない
リン『仕方ない…んっ…!』
リンは避けずに刀で受け止めるが幾ら普通より力が強いとは言えそれは相手も同じようで
??『このまま斬り潰してやるぅ!』
より一層斧に力を込め徐々にリンが負けていく
リン『くっ…まずい…』
マサトはそんな風景をぼやーっと眺めていた
自分に出来ること何て無い自分が生きてる意味も存在する価値もそれを見出す事など今の彼には到底不可能だった。
マサト『死ぬのか…死ぬ…んだ…』
しかし、死のことを考えた途端身体が小刻みに震え始めた。自分でも驚いたもう生きるのを諦めたはずなのに、身体は生きたいと鼓動するかのように震え続け
マサト『……』
その時目の前の少女リンが見知らぬ自分を助けようとするのに少し既視感があった。
そう、それは妹が自分の林檎を知らない老人に上げていた事だ。マサトの妹は優しかった、この時代にそぐわないくらい。
リンを見ていたら何故だか
『守らなきゃ』『助けなきゃ』などと言った感情が芽生え、何時しか無気力だった表情は覚悟を決めた顔になり
マサト『ふぅ…よし!』
自分の顔をパンッと叩き気合を入れる
リンと襲いかかっている男をしっかりと見据え
突進する
マサト『うぉぉぉぉ!!』
マサトは男が手に力を込めているならと思い
足に全力でぶつかる、そして狙い通りに男は体制を少し崩す
??『うぉぉ!?』
それは少しふらつくくらいのマサト1人ならただ死にに来ただけのようなものだ
しかし、ここにはもう1人居る
こんなチャンスを逃す程愚かではない少女が
リン『今だっ…!』
男に飛び膝蹴りを喰らわせそのまま男の肩を使いジャンプし
リン『たぁぁぁ!!』
上から刀の柄で男の頭を殴った
リンはそのまま綺麗に着地するが男はバタッと倒れる
マサト『お、終わった…?俺…生きてる…?』
マサトはホッと胸を撫で下ろし
その場に倒れ込む
マサト『こ、怖かったぁぁ…』
また身体が震えてきてしまう
リンがマサトをジッと見つめて
マサト『な、なに…?』
マサトは少し照れくさそうに返事して
その宝石ののように赤く透き通った瞳で見つめながら
リン『マサト…貴方…私を助けるなんて…変な人…』
それは思いがけない言葉だった
マサト『ふっ…それをキミが言う?』
マサトは少し笑ってしまった自分からすれば見知らぬ人を無償で助けるなどと言う方が変人だ
リン『何で私を助けたの…?』
リンは聞いて来るが流石に妹に似ていたからでは恥ずかし過ぎて死ねる、確実に死ねる、顔真っ赤にして
マサト『た、たま…たま?』
適当に言うが少女が納得したように頷き
リン『そんな人も居るんだ……貴方面白いね。私はもうこの街を出ていかなきゃいけないけど気をつけて、今度は無謀な事はしないでね』
そのまま立ち去ろうとするがマサトにはある決心がついていた
マサト『ねぇ!1ついい!』
リンに呼びかける
リン『…?』
リンは立ち止まって振り返る
マサトは大声で
マサト『俺もあんたの旅に行かせてくれー!!』
リン『…!』
マサト『俺!雑用でも何でもするから!』
リン『本当に…面白い人だね…いいよ…でも面白い事なんて無いよ?』
マサト『それでも!構わないさ!』
グッとイイネポーズをして
マサトが旅の準備を終えて
リン『じゃあ…行こうか…』
マサト『父さん…母さん…アカリ…行ってきます』
そしてここからこの2人の冒険は始まる
え?一体あの男は何かって?それは…
物語が進んでからのお楽しみ…
〜少女と刀〜
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