悪竜と光の若者たち

悪竜と光の若者たち1

[舞台]

 うっそうとした森の中。細い道が山の奥へ続いている。薄暗くて、いつモンスターが出てきてもおかしくないような不気味な山道。




 [人物]

 旅の冒険者四人。すべて若い男性。

 緑色のローブに幅広の帽子を被り、手に背丈よりも長い木の杖を持った【魔法使い】。

 鎖帷子の上から白いマントをまとい、左手にラウンド・シールドを、右手に太いメイスを装備した【僧侶】。

 グレーの全身プレート・メイルを装備して、巨大なバスタード・ソードを背に担いでいる【戦士】。

 青を基調とした布の服に大きめのカイト・シールド、一見安物に見えるがよく見るとうっすらと光を纏っている不思議な片手剣を持つ【青年】。




 [演技]

 画面下手から四人が歩いて出てくる。うち【魔法使い】はかなり疲れ切った様子で、【僧侶】に励まされている。




 魔法使い「本当にこんな所に人が住んでるのかよ。これで何もありませんでしたとかだったら俺、怒るよ」

 僧侶「まあ、まあ。そう言わずとも。何でしたらこの私があなたを担いでいきましょうか?」

 魔法使い「遠慮しとく。さすがにそれは情けなさ過ぎる」

 戦士「前から言ってるが、お前は体力なさ過ぎ。俺ほどではないにしろ、こいつくらいは鍛えろよ」




 [演技]

 【戦士】、【僧侶】を指さす。【僧侶】は肩をすくめる。




 魔法使い「おいおい、よしてくれよ。誰が筋トレが趣味のムキムキマッチョマンを見習わないといけないんだよ。見ろよ、この筋肉」

 僧侶「おやおや。嫉妬ですか? 筋肉はいいものですよ。全てを解決してくれる」

 魔法使い「僧侶が神様じゃなくて筋肉を信じていいのかよ。てか、嫉妬じゃねー!」




 [演技]

 【魔法使い】、両手を挙げて怒る。【僧侶】と【戦士】は笑うしぐさ。

 少し離れた所にいる【青年】は上手舞台袖の方を見ている。そのまま遠くを見るようなしぐさをしながら、次の台詞。




 青年「おーい、みんな。この森を抜けたところに集落が見える。きっとあそこだ」

 僧侶「さあ、もうひと踏ん張りです。歩けますね?」

 魔法使い「歩くよ、歩きゃいいんだろ?」

 戦士「そうだ。歩きゃいいんだ。がはは!」




 [演技]

 四人は舞台上手へ歩いて行き、次のシーンへ。




 [舞台] 

 うっそうとした森は一転してのどかな田園風景に。田畑は実りの時期を迎えており、すでに何割かは収獲を終えている。家はまだ見えない。




 [人物]

 ぼろ布を縫い合わせた服を着た【農民】。破れかけの麦わら帽を被り、腰には手ぬぐいをくくりつけて、手にはカマを持って農作業中。




 [演技]

 【農民】は畑の中で作物を収獲中。下手から【青年】達四人が歩いてくる。




 青年「すいませーん!」

 農民「おや? 見かけない顔だなぁ。旅のものか?」

 青年「ええ。この辺りに村があると聞いて」

 農民「そりゃまたこんな所によく来たなぁ。ちょうど収穫祭をやってるんだ。歓迎するよ」

 戦士「収穫祭!? やったぜ、ご馳走にありつける!」

 僧侶「羽目を外しすぎてご迷惑をおかけしないようにしてくださいね。私たちの目的は、あくまでも――」

 戦士「わかってるって。酒はひかえておくさ」

 魔法使い「ホントか? お前のいう『ひかえる』は信用できないからなぁ」

 農民「おーい、案内するからついて来いや」

 青年「あ、はい! すぐいきます!」




[演技]

 青年を先頭に一行が農民の後をついて舞台上手へ。シーン終わり。

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