二人の騎士
「こちらは?」
王「妻だ」「宮廷魔術師ですっ」
『遠方から客人が来たから、案内を頼みたいのだが』と言うから来てみれば、何だ。
「またお前は。その格好(ナリ)で魔術師などと……「本当のことです。」
王と私は、つまるところ見習い騎士からの同期である。お互いの性格は言われなくともよぉく分かっている。周囲は私を騎士として評価したいようだが、私の望みはそうじゃない。
剣の腕が立つ強者など、他にも居る。私は魔術師として働きたいんだ。……まぁ、あいつの護衛にされていないだけまだ良いか。
「……話はわかりました。しばらく我が部隊に同行し、視察をして頂きましょう。」
「頼んだぞ」
「で、今に至ると。団長って、王様のお願いに弱いとこあるよな~」
「……あいつには借りがあるからな」
「“借り”ですか」
「一生かかっても、償えないものだ。だからこそ、私にできることは受けることにしている。」
「……もしかして、“それ”もですか?」
「そうだ。なかなか鋭いな、客人。」
そう不敵に笑い、“瞳を隠す瓶底のガラス”にそっと触れた女性の指先は、とても美しかった。
僕は悟った。あぁ、きっとかの王はこれを隠していたいのだ。だから周囲が護衛として彼女を推薦しても、理由を付けて拒否する。愛する人が自分を守って傷付くのを、何よりも怖れているから。
王の数年に渡るプロポーズはいつ実るのか?彼女が王の真意に気付くのは何時か。
きっと、僕が次にこの国に来るときには、全て決着がついているだろう。結果は……言うまでもない。
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