第25話 ナイフの嫉妬
アンダーゲート要塞の攻略に成功し凱旋したバールは、魔王に結果を報告する。
「アンダーゲート要塞の攻略に成功いたしました。ここから、世界征服の足掛かりとすることができましょう!」
「そうか。ご苦労であった。バールよ、そなたには期待しておるぞ!」
既に伝令を使い情報を掴んでいたためか、そっけない形で次の話題に移る。
「アンダーゲート要塞を占拠したのであれば、引き続き侵攻を進めるべきです。
是非このナイフめに侵攻命令をご拝命いただきたく!」
バールは、口には出さないものの心の中で叫ぶ。
「(おい。俺が上申した時、侵攻には反対していただろう。個人的な手柄のため手のひら返しか!)」
ナイフも、表情には出さないが心の中で叫ぶ。
「(ちっ、少しばかり早く配下になったからと言って偉そうに!
次の戦果を持って、お前は俺の足元にひざまずくことになるのだがな。
俺に任せておけば、お前よりもうまく事を運んでみせてやる!)」
続いて、ナイフは魔王軍の戦力分析結果を提示し、こう伝える。
「アンダーゲート要塞を占拠したおかげで、上級魔族以外の者を従えての戦闘も可能でございます。従軍までに若干の時間を要しますが、必ずや魔王様のご期待に沿う活躍をしてみせましょう!」
今までだと、飛行能力を持った上級魔族でなければグレートクレパスを越えて人族に侵攻する際の移動手段に支障があり現実的ではなかった。
しかし、アンダーゲート要塞の侵攻成功により活動拠点を確保することができた。
飛行能力を持たない魔族であっても、時間はかかるもののグレートクレパスを越えるための運搬をしてもらうことで従軍が可能になった。
これがチャンスとばかりに、既に裏口からさらなる侵攻作戦案を魔王へ持ち込み済のようだ。
「(ナイフが言うのだから正しいのだろう。戦線拡大は心配だが、織り込み済か)
わかった。次の侵攻作戦はナイフに一任する。そなたにも期待しておるぞ!」
これにより、ナイフを参謀としたワイドアイランド侵攻計画が承認された。
そして、実働部隊のリーダーはフレンダ、アンダーゲート要塞の防衛および要塞化はナイフとカールで行うことと決定した。
つまり、魔王とバールが魔王城に残り、ナイフ、カール、フレンダがアンダーゲートへ常駐することとなった。
そして、魔族の一部をアンダーゲート要塞に集結させ部隊再編を行い、フレンダをリーダーとしたワイドアイランド侵攻作戦が開始されることとなる。
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