第24話 アンダーゲート要塞侵攻
スピーディ結成からほどなくして、バールを大将として魔族によるアンダーゲート要塞への侵攻が開始される。
しかし、アンダーゲート要塞は帝都からはかなり離れているため、スピーディ一行が要塞に侵攻があったことに気づくまでには少し時間を要する。
アンダーゲート要塞は、魔族から見ると人族の領土の中で一番魔族の領土近くに位置する要塞だ。現在は、ここに人間が強固な要塞を築くことで、魔王軍からの侵攻があったとしても防ぐことができるよう防御を固めている状況だ。
ちなみに、アンダーゲート要塞を経由せず他の街へ侵攻する可能性についてだが、他のルートは山や海に囲まれていて相互の領域に侵攻しようと思ったらここを通過するのが一般的だ。他のルートは空中や海上を通らない限り現実的ではない。
上級魔族であれば飛行することができるため、上級魔族を街に送り込むだけであればアンダーゲートを経由しなくても実現できるかもしれない。しかし、飛行距離には限界があり途中休憩が必要だ。街や要塞を占拠するつもりであれば多くの魔族兵を帯同する必要がある。
つまり、上級魔族以外を引き連れて海や山を越え侵攻というのは現実的ではなく、アンダーゲート要塞を占拠して活動拠点としてその先を目指すのが王道だ。魔族から人族の生息域に侵攻するのであれば、ここを占拠して拠点とするのが最優先事項だ。
逆に人族から見ても、アンダーゲート要塞は魔族からの侵攻を防ぐための最前線として重要視されている要塞だ。
既に重厚な要塞が建設され、防衛に必要な戦力を配置している…そのつもりだった。
しかし、魔族による前回の大規模侵攻から既に50年以上が経過していた。
魔族から見ればさほど長くない時間でも、人族にとってみれば一生にも感じられるほどの長さだ。
魔族との戦闘経験のある兵士や指揮官はほぼ残っておらず、対空魔法を使える魔導士も平和ボケしてしまいこの地に留まっているものは少数しかいなかった。
そのため、魔族の空中からの魔法攻撃に対して対抗する手段を持たず、一方的に攻撃を受けることとなってしまった。
幸い、魔族は侵攻拠点としての価値を重視して殲滅作戦ではなく戦力無力化の戦術をとってきたため、人命の被害は抑えられたものの、魔族側はほぼ無傷でアンダーゲート要塞を手中にした。
アンダーゲート要塞の人々は、労働力や生産者として魔族に従属することとなった。
――――
「ふっ。まぁこんなものか。そうだな。俺はこれから魔王へ報告に行く。
後はカール、フレンダよろしくな!」
戦況の確認もほどほどに、バールは魔王城へと戻っていった。
「ふん。成果が出たら自分のもので、後始末は俺たちかよ。いいご身分だな!」
「まぁまぁ落ち着いてぇ。補給路も考えずにワイドアイランドまで戦線を延ばされるよりましでしょ。私たちは任務をこなしてぇ、ここを活動拠点に仕立てましょう」
もともと、魔族側も無理をして上級魔族を集め今回の侵攻を進めている。
直近でこれ以上の侵攻は避けられたが、近い将来アンダーゲート要塞を拠点とした魔族の侵攻が開始されるだろう。人族と魔族の大規模な対決は避けられそうにない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます