第17話 勇者パーティーへの移籍


 ファイアードレイク討伐に成功したアレン達一行は、ここ一か月強で砦の無血開城、難攻不落のダンジョン制覇、火竜討伐と奇跡的な活躍を見せた。

帝都には数多の冒険者が在籍しているが、この短期間でここまで成果を上げたパーティは他にいないだろう。


 その中でも、戦術面で活躍を見せたマヤの知名度は急上昇した。

現在のマヤのステータスは以下のような感じだ。


――――――――――

 名前 : マヤ

 性別 : 女

 年齢 : 15

 LV : 34

 HP : 163

 MP : 120

 攻撃 : 100 (50+50)

 防御 : 92 (42+25+10+15)

 素早さ: 108


 スキル: ステータス、カミカゼ(Lv10)、解錠(Lv10)

 知名度: Cランク


 武器 : サーベル+1 (+50)

 防具 : はがねの鎧+1 (+25)

 頭  : はがねの兜 (+10)

 盾  : はがねの盾 (+15)

――――――――――


 また、知名度の上昇だけでなくパーティ戦の経験も積んでLVも上昇して、順当な Cランク冒険者として問題なく通用することだろう。


 それにしても、15才でこの数字は大谷翔平もびっくりのスーパールーキーと呼ぶべきだろう。今までは見た目で若輩者の小娘だと判断していた冒険者達も、考えを改めたに違いない。これだけの活躍をしたのだ。恐らく魔王討伐を目指している一流パーティの耳にも入ったこと思われる。


「これで、魔王討伐を目指している一流パーティも無視できなくなったわよね」


 帝都ということもあり、優秀なパーティも多数在籍していることが期待できる。

帝都に来たばかりの頃には一流パーティに相手をしてもらえることはなかったが、今なら大丈夫に違いない。


「さて、魔王討伐を目指している一流パーティの情報を集めなくっちゃ!

冒険者ギルドにパーティ加入希望の募集を出すのもありかな?

条件は『魔王討伐を一緒にしてくれる人。Aランク以上のパーティ希望』っと」


 こんな感じで、魔王討伐を目指す有望なパーティについて情報収集を開始する。


――――


 地道な活動が実を結んだというより帝都内でのマヤの噂による効果だと思うが、一流どころではなく超一流パーティへの加入チャンスがやって来たようだ。

乗るしかない、このビッグウェーブに。


「名前くらいは聞いたことがあるんじゃないかな。僕の名はダン。として魔王討伐を目指しているんだ」


 この世界で誰もが名前を耳にしたことがある、勇者ダンからパーティ加入のお誘いが来た。現時点でダンはマヤと同じパーティメンバーではないので、相手のステータスは個人情報で開示されない。


 そのためあくまでも自称だが、LV50を超えるAランク勇者だと自己紹介される。

見た目だけでは強さを判断できないが、全体にまとっているオーラからいって嘘はないだろう。


 そして、周りのギャラリーの反応から言っても、おそらく帝都でも指折り数えることができるほどの有名人なのは間違いない。


 そして、ダンのパーティメンバーも強者揃いだ。全員がマヤを大きく超えるLVで、職業も上位職に従事しているようだ。しかも全員が妙齢の女性だ。


「わてはエミリーや。Bランクの騎士やで。ツッコミだったら任しといてや」


「フランソワーズだわ。Bランクで賢者やっとる。だもんで計画立案は任してちょ」


「うちはガーネット。Bランク魔導士じゃけぇ。うちらと一緒に冒険しようや」


「初めまして、マヤよ。うわぁ、メンバー全員今の私よりLV、知名度共に高い!

本当にすごい!」


 さすがは勇者パーティのメンバーだ。全員が Bランク以上の上位職で、LVも 40を超えているメンバーが揃っている。


 そして、ダンは会話を続け本題に入る。


「魔王討伐への準備は着実に進めている。魔王の本拠地へ乗り込むのもさほど遠い未来ではないでしょう。私たちと一緒に戦う気はありませんか?」


 勇者から直接パーティ加入要請があるという幸運に加え、マヤの目的とも一致している。魔王討伐を急ぐ方針のマヤとしては、この話に乗るのがよさそうだ。


「了解。でも今のパーティとの契約もあるので、少しだけ待ってもらえないかしら」


 ちなみに、パーティから離脱したりパーティ自体を解散する場合には、となる。

何故なら、重要アイテムを持ったまま離脱されたり、重要なクエスト中に勝手にいなくなることができてしまうといろいろと不都合が多いためだ。


 そのため、ダンのパーティに移籍するためには、まずアレン達のパーティからの離脱についてアレンから合意を得なければならない。


――――


 若干名残惜しいが、アレン達とは最後の冒険と約束してファイアードレイク討伐に取り組んだ。そこまでこじれることはないと信じているが、マヤは率直にアレンへパーティ離脱の話を持ち掛ける。


「私の目的が魔王退治ってのは以前伝えたと思うし、現在もあきらめていないわ。

申し訳ないけれど勇者ダンのパーティへの移籍を認めてもらえないかしら?」


 きっとアレン達の中ではこのまま残ってくれないかという思いがあるのだろう。それでも、ちゃんとマヤの都合を理解してくれているようだ。パーティ離脱について無事了承してくれた。


「元々、帝都にいる間一緒にパーティを組もうって話だったよな。マヤと別れるのは残念だけど、俺たちも有名になってすごく助かった。魔王討伐頑張ってくれ!」


 いわゆる『円満退社』で済みそうだ。脳筋な部分はあるものの皆さっぱりしていて裏表がなく付き合いやすいメンバーだった。もし別の機会があれば、再びパーティを組むのも悪くない選択だろう。

あらためて感謝の気持ちを伝え、マヤはアレン達のパーティから離脱する。


「さて、これで勇者ご一行に加わることができるわ。西を目指しましょう!」

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