第3話 エリクサーは回復アイテムに含まれますか?
所持金増殖によって資金が潤沢になりかなりの余裕ができた。
日本であれば『電子計算機損壊等業務妨害』になってもおかしくないが、何しろここは異世界だ!!!。大丈夫だ、問題ない。
さて、真面目にレベル上げやお使いクエストをこなし、仮に魔王討伐に20年費やした場合、日本に戻る時にはマヤはすっかりおばさんだ。これには耐えられない。
「おばさんとかあり得ない!!! 。二年 ―― 18歳になる前には絶対帰る!」
二年以内の魔王討伐のため、マヤはチートを含め自重しない決意をする。
――――
集落の商店で買える必需品はなくなったので、そろそろ出発を考える時期だろう。
さっさと最寄りの街まで行って装備を整えようと考えたのだが、転生直後から気になっていたことがあり、母親に聞いてみることとした。
「母様、以前から気になっていたのですが、部屋の窓から先に見える浮遊要塞みたいなものは何でしょうか?」
母親は、あら知らなかったの?と言わんばかりに答える。
「あれば山の上にある研究施設で、日夜寝る間も惜しんでエリクサーを錬成しているとの噂です。エリクサーは高価過ぎて庶民には関係ないものだと思いますが」
エリクサーですか。これは興味深い。街に出発する前に様子を見に行ってみよう!
――――
「すみません。どなたかいらっしゃいますか?」
研究所の入口には、強面の警備担当者がいた。普通に話を聞いてくれそうだ。
「お嬢ちゃん、ここは研究施設で関係者以外立ち入り禁止だぜ。何か用かい?」
マヤは、警備担当者に対して強気に交渉を開始する。
「ここってエリクサーを作っている研究施設なんでしょう?資金は潤沢にあるから、あるだけ全部売ってくれないかな?」
警備担当者は、内容にかなり驚きつつも、落ち着いて対応をする。
「あのな、お嬢ちゃん。エリクサーがいくらするのか知っているのか?。商店で買ったら 100万G はする代物だぜ」
人の命を救えるとはいえ 1億円もするのか。でも今の私なら余裕で買えるじゃん。
「問題ないわ。決済システムで私の決済可能能力がわかるんでしょう? 255本として確認してもらってよいかしら?」
おいおい冗談だろ?と思いつつ 2億5千5百万Gの決済が可能か与信を通すと…
問題なく支払い可能との結果がでた。
ちなみに、相手の残高が分かるのではなく、指定金額の決済可否が分かる仕組みだ。
もっとも、今回の件でマヤの所持金が 2億5千5百万G 以上あることがバレバレであるのだが、さすがにこれが個人の資金だとは思われていないだろう。
「おいおい、本当に支払いできるのか。お嬢ちゃんはエリクサーの支払担当かい?」
この世界、回復アイテムは種類毎にそれぞれ 255個まで持つことが可能で、回復アイテム区分の中にはエリクサーも含まれることに気づいたのだ。
アイテムボックスに入れておけば、どんな子供でも運搬や支払いだけなら可能だ。
買い出しのための商隊が別にいてエリクサーの受け渡しだけのために小間使いを寄越したのだと勘違いしても不思議ではない。
「そうね。エリクサーは帝都まで運ぶつもりよ」
マヤが自分で使うつもりだが、いずれは帝都にも行く予定なので嘘ではない。
「当然知っていると思うが、エリクサーは高価すぎて、普通の商店じゃ 1つ買い取るのも厳しいぞ。帝都に行くとは言え売り捌けるのか?」
「大丈夫よ、問題ないわ。あてがあるから」
もちろん、マヤ自身が欲しいのだが、余計なことは言わない方がいいだろう。
「わかった。だけどエリクサーは非常に精錬するのに時間がかかるんだ。最近在庫が過剰気味ではあるのだが他の顧客も居るし、さすがに俺の一存では可否を判断できない。所長と話をしておくので、3日後もう一度来てくれないか?」
警備担当者の問いに対して、マヤは即答する。
「それで問題ないわ。3日後の朝にもう一度ここに来るわね」
――――
3日後の朝、マヤは研究所を訪れると丁重に所長の部屋まで通された。
マヤ一人で来ることは所長の想定外だったようだが、技術的に支払い、運搬共に問題ないことから取引は無事行われることとなった。
所長曰く、エリクサーの取引は以下の条件でお願いしたいとのこと。
「255本は無理だが、200本であれば他顧客への影響なく融通できる。仕切り価格は極秘事項だが、大量購入ということで市価の 8掛けとさせて欲しい」
「在庫はほぼ払底してしまったので、次の仕入れは 1年以上後でお願いしたい」
正直、適正な価格がわからずぼったくられている可能性もあるが、そこまで今後の取引を考えている相手にふっかけてはいないだろうと考え、この条件で了承した。
エリクサーの大人買いとか、なかなか経験できなくすごく気持ちいいかもしれない。
「エリクサーの代金は1億6千万G か…まだまだ資金は余裕ね♪」
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