女学生 対応する。
「…どうぞハムとチーズのサンドイッチです。」
私、アリス.クランベルは今詰所で講師らしい不審者に食事を出している。
「ありがとう。風紀委員の詰所と言えばこのサンドイッチだね。確か紅茶もあるよね、食後にお願いするよ。」
「…わかりました。」
風紀委員の詰所の紅茶やサンドイッチを知ってる辺り本当に卒業生らしい。
「あの…本当に講師何ですか?卒業生なのは本当見たいですけど。」
話を切り出すと、彼は紅茶を飲みながら何か思い出したように懐に手を伸ばす。
何か魔具を仕掛けるのかと思わず身構える。
「腹も膨れて思い出したんだが、君の校章みたいに事務員から校章を貰っていたのを忘れていたよ。確かこれ講師を示すものだっけ?」
懐から取り出した物を机の上におく。私は机の上の校章を確認する。確かにこれは学院の講師を示す校章だ。
どうやら本当に講師らしい。
「…確かに講師の校章です。その…申し訳ありませんでした。」
「いや、気にすることはない、君は風紀委員として正しい対応していたよ。では改めて自己紹介を私はレリック.フリーマン。次年度から初級魔術を担当する事になっている。君は二年生だから関係ないがよろしく頼むよ。」
こちらを見て、改めて自己紹介される。黒い髪で鋭い目をしてるが整った顔立ち、女生徒には人気がでそうだ。
私は彼の名前を改めて聞いて思い出した。
「レリック.フリーマンってあの[凍結]を生み出したレリック.フリーマンさんですか!?」
「そのフリーマンで間違ってないよ。二年前の事を含めて私の名前が浸透してくれていて良かったよ。」
レリック.フリーマンと言えば[凍結]の魔術を開発した人間で有名だし、最近平民から貴族になった事や発表事態は二年前だが魔術師ギルドの不正事件の事で学院中に名前が知られている。
一部の学生にはAランク冒険者としても有名らしい。
彼がレリック.フリーマンならこの学院に講師として呼ばれるのは納得が行くが疑問が一つある。
「何で、初級魔術の講師何ですか。先生なら教授でも問題ないのでは?」
先生は、まだ先生じゃないよ。と前置きして教えてくれ。
「研究に集中して欲しいらしいよ。教授になれば色々とめんどくさい事になりそうだし。初級魔術なら全学科共通科目で政争からは外れるし。」
確かに学院では政争争いが常にある。生徒達の間では色々と噂になってる。
私が先生の説明に納得していると、紅茶をのみ終わったからか。
「さて、色々とありがとう。サンドイッチと紅茶、美味しかったよ。君もそろそろ寮に戻る時間だろう。春休みとは言え夜中に一人は危険だ。送っていくよ。」
確かに時計を確認すると既に深夜に近い。先生の指摘は最もなので送っていただく事にした。
私は今、先生と一緒に寮へと向かっている。
「先生、質問何ですが最初にお会いした時に言われた魔術の事ですが、何を習得すれば良いでしょうか。」
「まだ、先生じゃないよ。そうだね、無力かなら[水の拘束]を覚えてると読み合いで裏をかきやすい。あとは[閃光]もおすすめだね火の魔術だけど不意をついて相手の魔力制御を乱せる。これなら[風の拘束]でも問題ないよ。」
[水の拘束]は対象を水で相手を拘束する魔術だ。[風の拘束]と違い相手が水で濡れてしまので風紀委員では推奨されていない。
でも、先生みたいに[風の拘束]を使うと思ってる相手に使用すれば拘束できる。
[閃光]は火属性で文字通り閃光を放つ魔術だ。確かに相手の不意を突ければ相手の魔力制御を乱して隙を作れる。
どちらの魔術も風紀委員では使われない魔術だけど、先生は冒険者でもある。こういった荒事には慣れている人の意見だ。
「わかりました!明日から練習してみます!」
「おや、ずいぶん素直じゃないか。風紀委員なら[閃光]は卑怯だと批判されるのに。」
先生も風紀委員の気風は知っているみたいでした。
風紀委員の人間は騎士を目指す人間が多く正々堂々を好みます。だから相手の隙を突くような魔術は好まれない。
「確かに、風紀委員の皆なら卑怯と言うかもしれません。でも、大事なのは正々堂々であることではなく、学院を守る事ですから。」
練習するのは、他の風紀委員に隠れながらやるから習得は遅くなるがいざというときに必要になるから覚えておかなくちゃ。
先生とそんな会話をしながら歩いていると寮に着いた。
「先生、送っていただきありがとうございました。」
「…」
先生は何か考えているようで返事はない。
しばらくすると先生が口を開いた。
「ミスクランベル提案何だが、私は今の生徒の実力を知らない。そこで二週間程度の間だか君の指導をして実力を知りたい。君も今教えた魔術を習得するなら風紀委員に見つからない場所が必要なはずだがどうだろう?」
先生からの提案は私にとって非常に魅力的だ。今日会ったばかりで信用するのは可笑しいかも知れないが先生を信用したい。不審者扱いしてしまったし。
「先生さえ良ければよろしくお願いします!」
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