魔術師 不審者扱いされる
学院に着いたのは日が落ちかけた頃だった。
学院のある都市は王都に近かかったが最後に現れた契約希望者のせいだ。何だよ冷やしたスライムに突っ込んで気持ちよくなりたいとか。ぶち殺すぞ。
今は手続きを終えて、此方での拠点となる研究室兼自宅に案内されている。
学院はこの都市の中心に存在し、学院周囲には学生寮等が存在する、まさに学院都市と言えるだろう。
「レリック先生。此方が学院が用意した先生の研究室です。こちらが鍵でございます。」
案内されたのは学院近くの寮が立ち並ぶ区画の一軒家だ。
案内してくれた事務員に渡された鍵でなかに入る。清潔な部屋だ、掃除をされていたのだろう。
前の家より広く地下室もあり、広い。
「いい部屋だ、ありがとう。早速荷ほどきをさせてもらうよ。」
事務員は明日学院を案内すると伝えてさって行った。
地下に銃や魔術書を隠し地下への扉を隠し持ってきた荷物は片付いたが問題が発生した。
日用品や食料の類いを持ってきていないのだ。つまり、このままだと今日は食事抜き。
食事を抜くのは珍しい事じゃないが今日は馬車の移動をしたり色々と疲れた。腹が減っている。
ここは学生寮の近くだ、食堂の一つや二つある。
とりあえず、街に繰り出すとした。
「食堂が無い…。」
あっても閉まっている。他の店も閉まっている所を見ると都市のルールか何かで閉店の時間は決まっているらしい。
(そういえば学生の街だなここは。学生夜遊び禁止ってか。)
都市の外に行って魔獣の狩りでもしてようかと考えながら外へと向かって歩いていると後ろから声をかけられた。
「そこのあなた。こんな夜中に出歩くなんて何者ですか?」
後ろを振り返ると美人がいた。この学院の制服の赤のブレザーにスカート履いてるから生徒だろう。ブレザー付いた校章からして二年生。
「やぁこんばんは、私は次の年度から学院の先生になるレリックだ。今日来たばっかりで食料が無いのでね、これから1狩りいこうかと。」
わーお、疑いの目が強まった。
「確かに、新年度から講師の方が来るとは聞いてましたが、信用出来ませんね。私は風紀委員のアリス.クランベル。取り敢えず詰所で一晩拘束します。」
「食事を貰えるなら従おう。ミスクランベル。」
「食事が無ければ逆らうと?」
どうやら彼女の気に触れたらしい。目が険しくなり魔力が渦巻いていく。
「短気だな、魔術師としては減点だが、魔力の制御は学生としては、及第点だ。」
「へぇ…言ってくれますね。[風の束縛]!」
[風の束縛]は捕縛目的で開発された魔術だ。この場で使用に適した魔術で、拘束力も申し分ない。
だが。
「さっきの魔力制御から見てこの程度だろう。そこらの暴漢程度なら問題ないが私には足りないな。」
「!」
[風の束縛]をかけられた者は本来なら上からの風圧で地面から叩きつけられる。
彼女は驚いている。倒れてるはずの私が平然としているのだから。
「格上の魔術師と戦闘をしたことがないのか?自分の周囲に同属性の魔力を纏えば打ち消せる。常識だ、頭はよろしくないみたいだな。」
「嘘よ!ごくわずかな時間で防げるはずないわ!」
彼女は否定を叫ぶ。
「確かに相手の魔術を発動から属性を見極めるのは難しい。だか、私はここの卒業生でね、風紀委員のやり方は知ってるし、この場で[風の束縛]を使うのは定石だ。騎士や警備もよく使う。
助言としては他の属性の拘束系魔術を普段から練習することをおすすめするよ。」
彼女は私との実力差を理解したのだろう。睨んではいるが黙っている。
「ところで、詰所には食事はあるのかな?空腹でしょうがないんだが?」
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