現実味のないサヨナラだった

「やっと観念したか?」

 力が抜け、抵抗しなくなった私を見下ろし、彼が鼻を鳴らす。そして頭から手をどかすと、私をくるりと回転させて両手を縛った。

「さてどうしてやろうか…」

 ぽつぽつと街灯が立つ静かな住宅街。でもそこには、ローブを身に纏った男と両手を後ろで縛られた女がいるという、異様な状態。そして私にふりかかっているかもしれない、呪いというもの。

(もしかしたら、すべて…)

 すべて夢なのかもしれない。

 美容院に行く日の、朝。

 まだ起きていないのかもしれない。

『シェル、もうこっちでは夜が明けるよ。月の雫がなくなって、穴が閉じてしまう』

 誰かの声が、耳にまた心地よく響く。

「わかった。それじゃ、コイツは連れていく」

 私の体が宙に浮き、お腹に、鉄棒で「布団干し」のポーズをしているような圧迫を感じた。たぶん、ローブの彼に米俵のように担がれているのだろう。

 彼が走り出して、風を感じ、コンクリート色の地面がかなり速いスピードで流れる。

(人を俵みたいに担いで、こんなに速く走れるなんて……)

 そんなの、物語の中の出来事だ。

 やっぱり私は、夢を見ているのだろう。

 そう思いながらも、確かに感じた、彼に頭をわしづかみにされた時の痛み。

 今、確かに感じているお腹の圧迫。


 私は、考えるのをやめて、ゆっくりと目を閉じた。




――――――――――――――――――

 おっしゃー! やっと、やっと異世界いけるんじゃね??

 もう牛歩すぎて……。すみません…。

 間隔あけると、「どれを漢字にしてたっけ」とか、「いま誰がどんな状態だっけ」とか振り返りつつ書かなきゃならないので、もうすこーし更新速度を早くしたい…。ローブの彼が鼻で笑いまくってないか、3回ほど確認してしまいました。だいじょぶだろうか…


 夕湖ちゃんは、たぶん、現実逃避が得意な子ですね。


 読んでくださり、ありがとうございます!

 

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