第8話 5項目目と予感
少年はこの世界を攻略するために、いや、変えるためには精霊達の力が絶対に必要だということを、顔に笑を浮かばせながらリーシャに言った。
少女は何故精霊達の力が絶対に必要なのかまだ分かっていないようだった。勉強などは得意だが、こういうものになると頭が回らなくなる。
「次、読むわよ」
シオンの言葉を頭に入れつつ次の項目を読み始めようとする少女。
4.~我らの技術~
我々精霊達は──
「お兄ちゃん、この項目は読まなくてもいいんじゃない?」
「まぁ、確かにそうだね」
4項目目を読もうとした時、シイナは読まなくてもいいのではということをシオンに伝えた。
シオンも薄々気づいていたのか、すぐそれに共感した。
4項目目の「我々の技術」は、3項目目の終わりで精霊達の技術をほぼ説明していたから別に読まなくてもよかったのだ。
「じゃあ、5項目目を読もっか」
シイナとリーシャに優しく言葉を放つシオン。
5.~環境と争い~
この世界で、この書物がある場所、つまり君たちがいる場所の近くは森林だらけだ。
しかし、3項目目の種族の説明のところで種族の柱があると記述されていただろう? 各種族の柱から半径1700km圏内は君たち人間にとっては結構厳しい環境になっている。
君たちの元いた世界の車とやらがあれば多少は楽になるがな。まさかその車を一から作れるなんて技術が君たちにはあるまい。材料もないしな。
こんなことを言われても、僕達にどうしろという風になると思うから各種族の柱付近の環境とやらを紹介しよう。
もう侵入者を徹底的に痛めつける感じだよな。
あと、そこら中にに独自の空間が存在しているから、見張りの悪魔もいつ出てくるか分からないんだ。
だから、上へ上がる前にそいつらを何とかしないと元も子もないのだ。
一方それ以外の巨人と「巨神」は柱の転移先にいる。
巨神は基本的には自分の持ち場を動こうとしない。動くとしたら、外部から強者が来た時くらいだろう。
同心円状になっていると考えてくれ。
外側から家、墓所、家、墓所、そして柱を守るように真ん中に大きな建物がある。
これは、奴らなりに良く考えたと思う。実際侵入するとなればとても入りにくい。
あと、これは大丈夫な者は大丈夫だが、君たちにとってはとてもショッキングなことかもしれないから記述しておく。奴らの土地には多くの生物の死骸が散乱してある。
血をエネルギーとする種族だから、仕方ないと言ったら仕方ないことかもしれんがな。
次に争いについてだ。
前の項目で争いについては何度も記述していたが、ここで更に詳しい内容を記述しよう。
奴らは対種族の戦争をする時はまず、小規模なものから始まる。下級のものが上級のものに襲われたりしたら、それが種族の長に伝わり見返りとして、相手の領内をめちゃくちゃにしたりする。そしたら、柱の転移先にいるもの達が怒りを胸に抱えながら敵を攻める。
この様にして対種族の全面戦争が始まっていくのだ。
「シイナ、やっぱりこの世界って種族同士の仲を良くしないといけないのかな?」
「お兄ちゃんって本当に凄いんだね。普通は読み終わった後にいろいろ整理して、何をするかを導き出すのに、文を読みながら沢山のことを考えて、途中で何をするか導き出すんだね!」
「まぁ、シオンはこういうのが得意なのよ。」
シイナはシオンの頭の回転速度にまたも驚いた。
リーシャが言った通り、シオンはこうやって何かを深く考え自分なりの答えを出すということが得意なのだ。
また違った頭の良さだ。
「行動に移すのは読み終わった後にしてっと……
次の項目が一番気になるな……」
──存在しないものを創る方法
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます