第5話 精霊達が遺したもの

シオン達は、この異世界に転移してきて新たな仲間「シイナ」ができた。彼女の身長はリーシャより少し小さいくらいだが、顔が幼く、着ていた服のせいでもあるのかシオンのロリコン魂に火がついた。そんなシオンは彼女の表情を見て、彼女が自分の言葉に従うと悟ったのか、シイナに「ロリ設定」を命じた。その直後シイナはシオンのことを「お兄ちゃん」とよぶようになり、完全にロリキャラとなったのだ。

それはそれとして──

シオン達はまず自分達の身の回りにある「書物」を片付けようとしていた。

シイナによって召喚された書物は大量な上に、この広い円形の土地のシオン達を除いた場所に散乱していた。

シオンとリーシャはやれやれといった表情で辺りを見回す。そんな時、シイナが口を開いた。


「ねぇ、シイナが片付けてあげようか?」

「え、できるのか? できるんだったらぜひ片付けてもらいたいけど……」

「うん? できるよ? ──パチンッ」


シイナはシオン達の表情から心情を読み取り、大量にあった書物を綺麗に整えていたのだ。しかし彼女は指をパチンと鳴らしただけだ。

シオンは内心思った。大量の書物召喚といい今の早業といい、この子が味方だとこの世界で苦労もせず自由気ままに生きていける!と。彼は幼い時から、何にも囚われず生きていくことを夢見ていたのだ。そして今、それが叶うと確信したのだ。

満面の笑みを浮かべる少年。


「シイナがいれば自由気ままに生きていけるね!」

「まぁ、そうなるわよね」

「──ごめんなさい……それはできないの……」

「え、なんで?」

「シイナは、シオン達に必要最低限なものを与えて、後はシオン達と一緒に行動して一つの物語を創れと命じられたの……いいえ、


シイナはそう言いながら、キレイに並べた書物の中から一冊だけ手に取った。そしてシオン達に読んでと言いたげな顔をする。それを見て、目の前に出された書物を取るシオン。見た目でも分厚いと分かるが、実際に手に取ってみると重さがよく掌に伝わってくる。

少年は書物のタイトルを見て少し疑問に思った。

書かれていたタイトルとは──

「変わりゆく世界と未来に託す希望」

シオンとリーシャが最初に目をつけたのは目次だった。


「目次」

──この書物は本物である(1~10ページ)

──この世界の真実と偽り(11~256ページ)

──世界の種族 (257~489ページ)

──我らの技術 (490~650ページ)

──環境と争い (651~720ページ)

──存在しないものを創る方法 (721~790ページ)

──後継者へ (791~920ページ)


シオン達は、全部読んでもしょうがないと思いまずは、一項目目の「この書物は本物である」の大事な部分だけを読み取った。


1.~この書物は本物である~


今君たち(読者)がいるということは、我々が書き遺したものが伝えられているということだね。ホッとするよ。それはいいとして、君たちは何故急にこの世界に転移してきたと思う? 答えは、たった今、されて、世界が君たちを欲しがったからだよ。

急に世界がリセットされたって言われても困るよね(笑)

我々も長い年月をかけてようやく分かったことだけど、この世界は、世界自らが何者かによって汚染、破壊されるとその時間をリセット、つまり再生するんだ。あぁ、リセットって言われると「何もかもまた一から」って思うよね。でも、ここでのリセットというのは「時間だけ」を示すんだ。

あとここでの世界というのは、君たちが立っている地面そのものをいうんだ。後で地図を見ると思うけど、この世界は浮遊している。うーん。分かりにくいかもだけど、形は、君たちのいる世界にダイヤモンドってあるだろう? 普通の人がダイヤモンドを想像する時って、だいたいはあの扇形っぽいのだろう? その形をイメージしてくれると助かる。まぁ、加工しなければ石ころ同然なんだけどね(笑)

おーと、話が逸れてしまった。この世界はさっきも言った通り「時間だけ」をリセットする。我々はこの書物を遺せたんだ。この理由は4項目目に書いてるよ。ま、だからこそなんだよ。我々がこうやって何かを書き遺すことで「この書物は本物である」ことを証明できる。


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