第4話 始まりの始まり
シオンとリーシャの前に現れた一人の少女。
その少女は自分のことを「Code Ø」とよんでいた。見た目は幼く、とても可愛らしい。少女は予めプログラムされていたデータから「書物」という項目を選び、大量の書物を二人に提供した。それと共に少女は、二人に自己紹介をするよう頼んだ。
「……僕はシオン」
シオン。彼は、銀髪でいつも穏やかな表情を浮かべている。身長は170cmより少し高いくらいだ。趣味は読書をすることと、ゲームをすることだ。アーク学園に通い、学園では常に2位という順位を維持している。そのせいか、シオンのまわりにはいつも女子達がいる。しかしシオンは、女子に囲まれるのは慣れていなく、できれば一人にして欲しいと思っている。
「私はリーシャ」
シオンが自分の名前を言い終わったのを見計らって言う少女。彼女は金髪のロングで、いつも優しく可愛らしい表情を浮かべている。身長はシオンの目線の辺りだ。趣味は、学園では教わらない難しい数学の問題を解くことと、読書をすることと「LINEでシオンと通話をすること」だ。
そして── ツンデレである。
シオンの周りに女子が来ると、いつも頬を膨らましている。彼女は昔からシオンが大好きなのだ。
「シオン、身長172cm。リーシャ、身長163cm。幼い頃から、シオンを好きでい──」
「──ッ! ちょっと! 私がシオンを好きってどういうこと?! わ、私がこんなヤツを好きになるわけないでしょ!」
「Code Øはまだ話し終えていない。しかしリーシャは、Code Øの言葉を断ち切って否定した。よって、これがリーシャがシオンを好きである証明となる。」
Code Øは一瞬で彼らの身長、そしてリーシャの感情を読み取った。その瞬間、彼女の瞳の色が変化した。海や山、そういった自然なものをイメージさせる様で、とても幻想的だった。
次にCode Øが読み取った情報を言い終える前にリーシャは、顔を赤くしながら否定した。好きであるシオンが横にいるにも関わらず「好きになるわけがない」と言ってしまったのだ。しかし横にいるシオンは、満面の笑みだった。
シオンは、リーシャが自分のことを好きだっていうことに薄々気づいていた。彼の中でそれが確信へと変わったのだろう。
そして、シオンが口を開いた──
「ねぇ、Code Ø」
「何だ。」
「Code Øっていちいち言うのあれだから、名前つけてもいい?」
「名前? Code Øにそんなものは必要ない。Code Øはただ役・目・を・果・た・す・だけである。」
「……じゃあ、シイナってのはどう?」
「不要だといっている。」
「いいや、もう決まりましたから」
シオンはCode Øと言うのが、いちいち面倒くさく慣れない感じがしたのか、勝手に名前を決めてしまった。それに対し、いつまでも名前など不要だと言い続けるCode Ø。
「……あんたよくこの状況で名前なんて決めれるわね。それに、何よその名前」
「ごめん、特に理由はないんだ。ただ、シイナって名前が好きだっただけ」
「なによそれ! 名前を決めるんだったら、意味くらいつけなさいよ! このロリコンが!」
「ちょっ、今ロリコン関係ある?!」
「あ、あとシイナ、自分のことはCode Øじゃなく、シイナってよんでね。あと、ロリ設定で。はい完璧」
「──ッ! シオン!いい加減にしてよね!」
「──データを更新する」
リーシャはシオンの突然の行動に腹を立て、シオンにくってかかった。シオンはCode Øに「シイナ」という名前を、特に意味も考えずにつけていた。
──彼はロリコンだ。
おそらく、この幼い容姿に合う名前を自分の頭の中から探し、つけたのだ。
しかしシイナは、さっきまで名前は不要だと言っていたのに、急にシオンの言葉に従い、データを更新した。
「お兄ちゃん……これでいい?」
「やっぱりな」
シイナの態度は、最初にシオン達に示したものとは全く異なるものとなっていた。シオンは何か分かっていたかのように「やっぱりな」という言葉を放った。
「ちょ、シオン、これどういうこと?」
「僕達が、いつもの様にツッコミとかを入れた会話をしていた時、シイナの僕達に対する雰囲気が変わった。」
「……」
シオンはリーシャと会話をしながら、シイナの表情を見ていたのだ。シイナの表情は初め、天敵を見るかのような表情だった。しかし、シオン達がさりげない会話をしている内に、彼女の表情は「信頼している仲間を見る」様な表情へと変わっていたのだ。
「さ、強力な仲間も加わったことだし気軽に行こうか。っとと、まずはこの書物を片付けなきゃだね」
少年は軽快な口調で言った──
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