第2章 世界と希望
第3話 始まりの地とオートシステム
シオンとリーシャの眼を焼きつけるほどの光は突如として顕れた。二人が見た光は、この世のものとは思えないものだった。突然の出来事に二人は意識を失った。
◇◇◇
──始まりの地
二人が意識を取り戻し目を開けるとそこは、さっきまで見ていたアーク学園の景色とは全く違うものとなっていた。
木々が生い茂っていた。それもどれも違う種類のものが。
「ねぇシオン、ここどこ?」
「僕もさっぱりだよ……」
突然の出来事で状況を整理できないでいる少年達。
リーシャは怖がっていたのか、シオンの胸もとに顔をくっつけていた。シオンは少し照れて彼女に言った。
「ね、ねぇリーシャ? 僕は全然大丈夫なんだけど、その……リーシャは大丈夫?」
「なにが……って、ええ?! な、なんで私こんなことしてるの……」
「リーシャは多分さっきの光で驚いて、無意識に僕に抱きついていたんじゃないかなぁ」
「だ、抱きついてなんかないんだから! なに変な妄想してるのよっ」
ハッと気づき少女は少年から勢いよく離れた。
少女はよほど怖かったのか目に涙を浮かべていた。
そんな少女を少し慰めた後に、少年は少女に静かにするよう頼んだ。
──何も聞こえない。風の音さえもだ。
少年は状況を整理しようとし、まずさっきから気になっていたこの「無音の空間」に目をつけた。しかし確認したはいいが、得られた情報は──
無音であること。周囲に木々が生い茂っていること。空が青いこと。動物、昆虫類がいないこと。これらだけである。余計に彼を悩ませた。
悩んでいてもしょうがないと思い、森の中を少女と共に歩み進んでいくことにした。すると少年たちは、そこだけ何者かによって造られたような場所へと辿り着いた。
地面だけが存在していて、それを囲むように木々が生えていた。パッと見は円形のような形だ。
「……入ってみようか」
「ええ……」
あまりにも不気味だったので、二人は中に入るのを躊躇った。中へと歩み進む二人。ちょうど中心だと思われるところに着くと、二人の目の前に「青く輝くもの」が顕現した。
「なっ! 」
「きゃっ!」
ドスン──
二人は突然の出来事に驚き、尻もちをついた。
尻を地面につけながら、目の前にある「青く輝くもの」を見た。そこからは時間が経つごとに何か音が聞こえてきた。
「ホロ、グラ、ム……? リーシャ、何か聞こえないかい?」
「確かに聞こえるわね。」
「って、なんだこの風はっ」
「……ねぇ、シオン、何か動いていない?」
その物体からは機械音が聞こえてきて、その周りからは微風が吹きはじめていた。
シオンは風に意識をとられていたのに対し、リーシャは視線を前に向けたままだった。そしてシオンはリーシャに「何か動いている」と言われ、再び前を見る。そこには、奇怪な文字列や数列が浮かび上がっていた。
──オートシステム起動。只今からロードを始める。
──Now loading……
ロード完了。セーブデータを反映する。
【Ø.1.2.3.4.5.6.】 【O.E.D.D.A.G.V】
データ更新
ランダムシステム起動。
Code Ø
バックアップ確認 Shut
──ビッ
シオン達の目の前からホログラムと思われるものは消えた。
「な、何よこれ……シオンどうなってるの?!」
「僕がわかるわけないだろう……」
シオン達は、死に直面したような表情だった。
ただでさえ意味がわからい状況なのに、目の前でこんなことが起きたら当然混乱するだろう。
しかし、彼らの目の前には更なる異変が──
赤、 青、白、黄、緑、紫、他にも様々な色があったが目立った色はこのくらいだろう。
少年たちの目の前に、幾多の丸い粒が浮かび、それが密集しようとしていた。
──スッ
「──ッ!」
「──ッ!」
シオン達は、目の前の光景が衝撃すぎて声にすることができなかった。
そんなシオン達の前には、存在しているものの中で一番美しいと言っても過言ではないような少女が顕現していた。
「Code Ø 顕現したことを確認した。只今より、人間と思われる種族との接触を実行する。」
【Program 1 書物】
──ドサッ
天からはこの森林の中に空いた円形の土地を埋め尽くすほどの、書物が降ってきた。
「人間。Code Øは書物を提供する。代わりに、そなたらの自己紹介を要求する。」
……ごくり
シオン達は固唾を呑んだ──
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