第15話
「くっしゅん、さっぶ」
「拓也くん、大変!風邪引くよ。
私、出るから。お風呂につかって」
「そうだな」
「ま、待ってよ。ここで脱がないでよー」
「いいじゃん」
「良くない。私出るから、あっち向いてて。
絶対こっち向いたらダメだからね」
「はいはい」
あー、ちょっと見てぇなぁ
まっ、これから散々見れるか
…って見れるかなぁ
大急ぎであがっていった千夏ちゃん
俺は冷えた身体を温めながら、いろんな妄想を膨らませ、1人でにやついてた
このまま、抱きたいけど、この間泣かしたからなぁ
風呂から出てくると今度は千夏ちゃんが不自然にテレビを観てる
「拓也くん、あったまった?風邪ひいてないかなぁ」
「大丈夫。そんな、やわじゃないよ」
冷蔵庫からビールを出して彼女の横に座った
「さっきはびっくりしたよ。急に入ってくるんだもん」
こっちも見ずににぎこちなく喋る彼女。
やっぱ、今日は無理かなぁ
「ごめんな。俺この間から無茶苦茶だな」
「この間?拓也くん…やっぱり覚えてたんだ」
「わりぃ、忘れたって言わないと、千夏ちゃん気にするだろ」
……覚えてたんだ
じゃあ、きっと、気にして、もう強引なことはしないよね。
でも、何だろ。この気持ち。
拓也くんにもっと、触れたい
温もりが欲しい。
こんなこと私が言ってもいいのかな
やだ、緊張してきた。
「拓也くん、あのね、私……素直に言ってもいい?」
「おー、言ってみ」
優しい目で顔を覗きこまれて、余計にドキドキした
「今ね、淋しい…の」
「ん?」
俺の両手をとり、その手をじっと見つめながら呟くように彼女は言った
「拓也くんのこの手で
………抱いて…ほしいの」
目を合わせず、真っ赤になって言ってくれた精いっぱいの彼女の言葉に俺は泣きそうなぐらい嬉しくて、心が熱くなった
「千夏ちゃん……千夏
素直に言ってくれて、ありがとう」
そっと包み込んで頭を撫でた
「きゃっ」
そのまま、抱き上げた
俺の首元に顔を埋める彼女の髪から香る匂いはいつものシャンプーの匂いとは違って、とても甘く、鼻をくすぐる
幸せな香りを大きく吸い込んで、頬に唇を寄せた
ベッドに沈め、ゆっくりとボタンを外していくと思った通り、透けるような白い肌
そっと手を滑り込ませると小さく声を上げて顔を背けた
彼女のしぐさや声、1つ1つが俺の抑えてた気持ちを掻き立て、
大切に…と思っていたはずなのに、気が付くと夢中になってた
柔らかい胸の先端を口に含み転がすと背中を仰け反らせ、甘い声を出す
内腿に舌を這わせ、たどりついた場所は既に充分すぎるぐらい溢れてた
「拓也くん、やぁ」
「千夏…好きだよ」
「うん…わた…しも」
「絶対、離さないから」
そう告げた時には彼女は声を出せず
代わりにコクりと頷いて俺の背中に手を回した
一気に彼女の中に入った
あったかくて、身震いするほど気持ちよくて、こんな思いで女を抱いたのは
きっと、初めてだった
ぎゅっと指先に力を入れて、しがみついた千夏の顔をちゃんと見たくて、繋がったまま動きを止めた
腕を伸ばして見下ろすと潤んだ瞳で恥ずかしそうに、ひとつ、瞬きして微笑んだ
愛しくて、たまらない
頭を抱えるようにして、深く長く息をするのを忘れるようなキスをして、彼女の更に奥へと……
ぐったりと倒れこんだ俺の頬に千夏の指が触れた
「拓也くん…ありがとう」
「ん?そんなに、良かった?」
「バカっ、そうじゃなくて」
「そうじゃないのかよ」
「そう…だけど…
拓也くんにね、触れられる度に好きって何度も何度も言ってもらえてるようだった。
私…幸せだよ」
「千夏、お前、ずるいよ。
そんなこと、その顔で言われたら止まらなくなるじゃん」
「え?」
まだ、息も整わない千夏を再び、抱いた。
ずっと、彼女に触れたくて躊躇ってた
もっと、もっと…もっと……
彼女の掠れた声が俺の閉じ込めてた思いを解き放ち、
何度も波打つしなやかな身体を無我夢中で求め続けた
「たくや…く…ん」
そう言って、千夏は意識をなくした
最後まで、”拓也くん"かよ
でも、そういうところが好きなんだ
彼女の汗ばんだ額にキスを落とし、
もう、俺のもんだと言わんばかりに大切に抱きしめて、眠りについた
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