第10話
目を覚ますと部屋が温かくなってる
エアコン入れたら、電気代が…
起き上がろうとすると拓也くんが私の手を握って眠ってる
慌てて、手を引っ込めた
「んー、起きた?熱は?」
「どうして、いるの?」
「いるの?はねぇだろ。さっみぃー部屋でろくに食べずにいたら、熱出るの当たり前だろ。バカじゃねぇの」
ムカつくから無視してエアコンを消して布団にもぐった
「はぁ?そうくるか。ちょっと、元気出てきたようだな。
じゃあ、とりあえず、身の回りの物だけ持っていくか」
拓也くんが勝手に辺りの衣類をまとめ出した
「や、やめてよ。何するの」
「俺んとこ、連れていくって言っただろ?」
「行かないから」
「行くのっ!」
その日、半ば強引に拓也くんの家に連れてこられた
あまり、大っぴらに引っ越しすると目立つので当面、必要な物だけ持って拓也くんの家に来た
やっぱり、すごいところに住んでるんだなぁ
でも、一緒に住むって一応、男と女なんだけど…
玄関で突っ立ってるとニヤリと笑って近付いてきた
「ふっ、余計なこと気にしてんだろ。
俺、千夏ちゃんの家族には世話になったんだし、あの家、好きなんだ。
そこの娘さんに手、出したりしないから。見てらんねぇから、連れてきた。それだけ」
「そんなこと、わかってるわよ。
私だって、あの拓也様に相手にしてもらおうなんて思ってませんから」
「何、その言い方っ。俺は別に特別な人間じゃない。2度とそんな言い方すんな」
「…ごめんなさい」
「ほらっ、あっちの部屋、自由に使えよ」
「ありがと」
拓也くん、怒ってた。
そう言えば、夏、うちにいた時
家族は皆、親戚の子が遊びに来たように接してた
そこにいた拓也くんの穏やかな顔が
私は…好きだった
好き?
うううん、そんなことはない
相手は芸能人
好きになんか、なっちゃいけない
彼が部屋のドアをバタンと閉める音が
心に悲しく響いた
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