胡蝶の夢
夢を、見ていた。
人の姿になって、仲間と一緒に歌ったり踊ったりする夢だった。人の姿になるなんて、我ながら面白い夢を見るものだ。
さてと、魚でも採りに行くか。私は水に飛び込んだ。
「…るー、フルル、起きなさいー」
「あ、プリンセス、おはよ。動物の時の夢見てたよー」
「今日から練習するんだから、ちゃんとしなさいよ」
「あれ?練習って明日からじゃないのー?」
「今日からよ!今回は新曲もあるんだから!」
「へ〜、なんて言うの?」
「『私達のストーリー』っていうタイトルょ…」
「…い、おーい、フルル起きろー」
「ったく、いつまで寝てんだよ。みんな待ってるぞ」
「あー、ごめんごめん。…あれ?プリンセスとマーゲイは?」
「え?マーゲイってあの映画撮ってる猫の奴か?それに…プリンセスって誰だ?」
「え?いつもみんなを引っ張ってくれたロイヤルペンギンのプリンセスだよー」
「いや…知らねーぞ…コウテイ知ってるか?」
「いや…聞いたことないな…」
「あれー?たしかに居たと思うんだけどなー」
「また寝ぼけてんじゃねーのかー?まったくー…」
「…さい、起きてください、フルル」
「んー、ああ、ジェーン、おはよう…」
「今日も歌のレッスンのためにトキさんとショウジョウトキさんが来てますよ。音楽会まであと1ヶ月なんですから」
「音楽会ー?そんなのあったっけー?」
「しっかりしてくださいよー。私たちも出るために練習してるじゃないですか」
「ふわぃ…ジャパリまんでも食べよ…」
………はっ、また夢を見ていた…しかも似たような夢だ…なんかこうも続くと…変な気分になる。ただのフンボルトペンギンが人の姿になんてなれるわけがない。私の想像力も大したものだ…
「ん…また夢か…夢から覚めてもまた夢で、何がなんだかわかんないよ…」
「どうしたー…フルル…明日本番なんだから、ちゃんと寝とけよー…」
「はーい、おやすみー…」
…目が覚めた。
私はフルル。フンボルトペンギンのフレンズ…のはず。
この世界は本当に現実なのか?目覚めたと思ってるだけでまだ夢の中ではないのか?そもそも私はフレンズなのか?実はただの1匹のペンギンなのではないか?
…考えても分からなかった。
「ま、いいや」
この世界が夢だろうと現実だろうと、私は楽しい仲間と楽しい時間が過ごせたらそれで満足だ。
そして私はまた眠りにつく…………
END.
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