第9話~冒険者~
「おーし、調子こいた四等野郎
を、ぶっ殺してやるか」
男が威嚇するように、指をポキポキと鳴らす
二等がどれほど強いか知らないが
ここまでなめられちゃ、
後には引けない
「その言葉そっくりお前に返すぜ・・・」
しかし、数刻前リーナと戦ったばかりだが
いけるだろうか?まあ回復薬は飲んだので
身体的ダメージは平気だが
魔力がどの程度残っているか
いささか疑問が残る
まあ、神域技は無理そうだな
「よーしお前にハンデやるよ、
俺は一切防御しねーから
一発ぶち込んで来いよ、四等野郎」
「上等じゃねーか・・・」
俺は刀を引き抜き
力を籠める
「どうした?早くしろよ?
それともビビっててんのか?」
男は俺を指さしながら
なお挑発する
イライラが止まらない
ここまでコケにされたのは
初めてだ、一撃で殺す!
「しねえええええええ烈風斬!!!」
俺は渾身の力で振りかぶり
烈風斬を男に向けて放つ
「へ?」
男に烈風斬が見事直撃する
それと同時に砂煙が舞う
本当に防御しないとは
恐れ入ったぜ、さあ、やつは
どんな技を出すのか?
俺は男の攻撃を警戒して
身構える、さあ来い・・・
さあ・・・あれ?
男から一向に反撃がない
いったい何が?まさか
俺のことをなめて
わざと反撃してこないのか?
しばらくして砂煙が薄れていき
男の姿があらわになっていく
・・・そこには仰向けになって
倒れている男の姿があった
嘘だろ?まだ一撃だぞ?
二等冒険者なんだろう?
でもよく考えれば、ユリスの鬼神
と呼ばれるリーナですら、
おれの烈風斬にてこずっていた、
ユリスの鬼神ですら厳しいのだ
こんな名前も知らない冒険者
ごときが耐えられるわけないか
「おーい大丈夫か」
とりあえず安否確認のために
男をつんつんしてみる
「むう~んうう」
起きないが、生きてはいるようだ
死んでたら後味が悪いからな
「ショット失礼しまーす」
戦利品でもいただこうかな
俺は男のポッケをまさぐる
「ちょ、俊太なにしるんだよ!」
健太はこういうことにうるさい
いいじゃないか戦利品ぐらい
まず健太を遠ざけないとな
「あ!健太!美少女エルフが入っていったぞ!」
「ほんと?!まてーーお嬢さんーーー」
もちろんエルフ美少女などいないが
健太を遠ざけることには成功した。
「じゃあ、改めて失礼します」
胸ポケットに結構な重量の金袋があった
どれどれ・・・200、700、
1012ゴールドかいけるな
俺は慈悲深いので、12ゴールドも残してあげた
俺はなんて心の清らかな人間なんだろうか
俺は金を懐にしまい込んだ。
「おい!俊太エルフ美少女なんてどこにいるんだ?!
ガチムチ女戦士しかいないじゃないか!」
知らぬ間に健太が帰ってきていた
幸い、金をもらったところは見られていないようだ
「まあまあ、それはいいじゃないか
それより依頼だ依頼、受付に行くぞ」
「そんなことって・・・」
俺たちは再び依頼受注のために
受付に向かていった
「はい、護衛クエストの受注ですね
では、冒険者バッジをご提示ください」
「はい」
俺達は言われたとおりに
冒険者バッジを受付のお姉さんに見せた
すると受付の人は
バッジをまじまじと見つめた。
「はい、山田健太様に・・・
えーと、そちらの方は
まだご登録が済んでいないようですね
バッジに魔力を籠めるように
にして、バッジにに手をかざしてください」
俺はバッジに手をかざす、すると・・・
バッジに俺の名前が印字されていく
「これで終わりですか?」
「はい、結構です」
再び受付はバッジを見つめる
「神山俊太様ですね・・・あっ少々
お待ちください」
受付は慌てて。後ろの棚を物色する
しばらくして受付が戻ってくる。
「すみませんこちらをどうぞ。」
手渡されたのは銀色の冒険者バッジ
「あ、これはどういうことで?」
「はい、今しがた領主様がこちらに来られて
神山俊太様を二等冒険者に
昇進させるようにと言われましたので。」
「へーすごいじゃないか、いきなり
昇進なんて。」
昇進?二階級特進じゃないか・・
しかし突然、どうしたのだろうか?
リーナの父親でもある領主様からみたら、
俺なんか痴漢野郎なんだけどな
もしかして、リーナとの決闘を見ていたのだろうか?
リーナに勝った俺を見て、強さを認めてくれた
ということなんだろうか、
まあ、なんにせよありがたい
ここは素直に受け取っておこう
「なるほど、ではありがたく頂戴します」
「あっ、少々お待ち下さい
そちらにも先ほどなされたように
印字のほうをよろしくお願いします」
またかよ・・・めんどくさい
俺は再びバッジにに手をかざし
バッジに印字した
「はい、これでご登録完了です
では、クエスト受注のほうを確認します
依頼主ウルス・ゴーン様
場所はユリスノース
依頼内容、護衛及び対象者の盗伐
受注者、二等冒険者神山俊太
四等冒険者山田健太以上でよろしいでしょうか」
「はい、問題ありません」
「では、これが受注証明書と
なります、再発行も可能ですが
できるだけなくさないように
してください、ではお気を付けて」
受付に人は深々と頭を下げて
俺たちを見送った
「なあ、ユリスノースっていどこにあるんだ?」
「距離的にここから半日ってところかな
とりあえず今から向かって
ユリスノースに着いたら1泊して
それからクエストに向かうとしよう」
「そうだな、そうするか」
俺たちはユリスノースに向かうため町を出た。
初の冒険に俺はワクテカである
いったいどんな冒険が俺を待ち受けているの
のだろうか・・・
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