草をわけて
ハツはぎゅうっと
細かいことは分かりません。ただ、その、空気を丸ごとすりつぶそうとする音のことばを、すりこぎみたいに
「ああ。ひとりもひとりも、やかましいったら……」
目を覚ました
「もう明け方だからねえ。きっと、ハツをどうするか考えてるのさ」
それでようやく、ハツは自分がずいぶん長く
「あのふたりが
「そうそう。にらみつけられて、ひと
「ふん。なにが怖いもんか。ハツ、ここから出ようよ。家へ帰ろう」
蛙は言いました。
「入ってきたほうとは反対の、あっちから出るんだ。そして立ちあがったら、真っすぐまっすぐ草を分けて走るんだよ」
そのあいだにも、地面すれすれに細く長く見えている向こうの
「走っていくと小さなお池に出る。そこに山吹が咲いてる。明け方にしか
腹ばいになって石をよけながら進むと、春の一日の、新しい空気がそこまできているのを感じました。けれど悪いことには、
「あ、あ、うしろだよ。こっち見てるよ。っぽう」
「ぽう。怖いねえ。腹が立つねえ」
ハツには見えませんでしたが、外に出てきた爺婆が
しんがりの二羽があわてて、せまいせまい縁のしたからハツを押し出しました。
「さあ立って、走って、真っすぐ行くんだよ、ハツ!」
青く
「
「すぐ
いやな音のすりこぎを
「
「せからしかぞオ」
ふたりを
「あの
「ひと
「そんなら答えろ、ででっぽう」
「よし言うてみろ」とお婆。
山鳩はぐるぐる飛んでいます。
「
「覚えているか、ででっぽう」
「おまえたちが食った、
「そがンこと、二十か、三十……ンにゃ、もっとあったか……」
うたい
「それから、いたずらに
「ええ、どがンじゃったか……」
「ひどく遊んでくれたねずみの子の数、すっかりいなくなったうさぎの子の数!」
「ええ……」
山鳩の夫婦はぐるぐる、ばたばた飛びまわります。
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