山吹の話
ハツの草つみ
こィは つみましょ カントリソウ
おらが こどもの
こィも つみましょ ナガヨモギ
いつでん どこでん
そィは よそさん ギョセイソウ
くそう おらすが よう
ま昼の山に、ハツの声は、あかあかとひびいていました。ハツのばっちゃんがまだ生きていたとき、ここらあたりで
ハツには昔からとっちゃんも、かっちゃんもいませんでしたから、いまは四人の妹たちと、
みんなが冬のさむさを忘れかけた
ばっちゃんが使っていた
今日も
そよぐ
「きれいかとの
さあ、いままであったかしらと思わないでもありましたけれど、あんなにきれいだもの、つんで帰ったら妹たちがよろこぶに
ななめっ面を、すこし
近くで、ますますまばゆくなるのは、ハツも知っている
背かごはもとの場所へおいてきてしまったので、持ちきれるくらいで、つまなければなりません。みっつか、よっつか、考えながら
「ぎゃっ」
おどろいたハツでしたが、それくらいは草つみをしていれば当たり前のことです。むしろ、それが
それで枝にもどしてやろうとすると、その蛙がころころ口を聞いたのです。
「ばかな子だね、こんなとこに入ってきて」
「えっ」
「はやく
よく見ると、蛙はちいさな目をつりあげて
「はあ、すいません。
「そうじゃないんだよ、ばかだねえ、はやく帰るんだよ」
ハツは口ごもりました。相手は蛙ですのに、なんだかお高いような言葉なので話しづらいのです。
「あ、もうだめだよ、ほんとにしかたないねえ」
あっと思うまに、蛙は手から
それと同時に、うしろからハツの肩をつかむものがあります。そうして、めちゃめちゃにしゃがれた声が吹きかけられました。
「こりゃどこン
すごい力でふり向かされると、きたない白い毛のもじゃもじゃした、お
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