第6話 ジレンマ
「シム、何だか最近様子がヘンじゃない?」
「そんな事ねーよ」
「まさかシム?」
「何だよ?」
「あれからパパと何かあった?」
「・・・・・」
「何なの、その沈黙は?」
「いやさ、何つーの。なんか生理的に受け付けなくって」
「やっぱりまさか!」
「ああ、あのオヤジと縁を切った」
「なんて事してくれるのっ! それじゃあ私の生活はどうなるってのよ!?」
「なんか部屋を追い出されるらしい」
「バカっ! あの部屋お気に入りだったのに!! この私に今更どこに住めって言うの? ママとはケンカしちゃったから実家には帰れないし!」
「ジロジロ」
「何よ」
「これは折衷案なんだが」
「なんなのよ?」
「この際、俺のアパートに住まないか?」
「は?」
「嫌か」
「嫌よ」
「何でだよ?」
「イカ臭いの、キライなの」
「贅沢言うな」
「し、仕方がないわね。でもハウスクリーニング呼んで徹底的に掃除してもらうから」
「勝手にしろ。清掃代はサラ持ちだぞ」
「ケチっ!」
ピンポーン
「おう、上がれや」
「なんか、サラさんのイメージが崩壊しつつあるな」
「同感です」
「んで。今日もおっぱい見せてくれるのか?」
ゴッチーン
「でっ!」
「シム、まさかアンタ!」
「うお、サラさん? 何でここに」
「実はこれこれこーゆー訳で」
「なるほど。同棲する事になったのか」
「合理的解決ですね」
「同棲じゃないわっ! ただの同居よ!」
「先輩。同棲と同居ってどう違うんですか?」
「一言で言うなら、ヤルかヤらないかだ」
「ヤってないですから!」
「でもシムよ。ホントはヤリタいんだろ?」
「ちょっと! オンナのコの前で堂々とデリカシーの無い話しないでよね」
「すみません」
ことととと
「あー、やっぱりシムの渋茶はうまいな」
「五臓六腑に染み渡りますね」
「ばあちゃんが勝手にどっさり送って来るんだよ」
「いいばーさんだ」
「同感です」
ずずずずず
「ところでなんですが」
「何だ?」
「課題の提出の締め切り、忘れてませんか?」
「あっ、そうだった」
「どーするよ?」
「ここで一つ、提案があります」
「言ってみろ」
「このシムさんとサラさんのハプニング。そのまま作品に生かしてみるのはどうでしょう?」
「嫌よ」
「何で?」
「ダメに決まってるでしょ」
「どうしてだよ?」
「恥ずかしいじゃないの」
「まあ、その気持ち、分からなくは無いんですけどね」
「実際、提出しないと単位に関わって来るんだよな」
「・・・・・」
「よーい、スタート!」
「結局こうなるのね」
「仕方ねぇだろ」
「はい、そこで顔近づけて、キスをして」
「無理無理無理!」
「カットぉーっ! ちょっと待て。お前ら、やる気あんの?」
「それはだな、アレだ」
「何だよ」
「いきなり過ぎて気持ちがついて来ない」
「そこは演技でカバーだろーが」
「無理な物は無理なのよ。誰がこんなドーテーなんかと」
「誰がこんなビッチなんかと」
「まあまあ、抑えて抑えて。先輩たちがそんなんじゃ困りますよ」
「なあ、シムよ。お前サラちゃんに惚れてたんだろ?」
「あの時と今では状況が違う」
「サラちゃんだって、シムに満更でもなかったんじゃ無いの?」
「状況が変わったのよ」
「あーもー、二人して! ちょっとは真面目にやって下さいよ! 僕たちの単位がかかってるんですよっ!!」
「んー、そうだな。それじゃこーゆーのはどーだ?」
「なになに?」
「いきなり濡れ場から始めよう」
「何でそーなるっ!?」
「ぜーったいにイヤ!」
「身体が繋がれば心も繋がると思うんだが」
「同感です」
「それ以前の問題なのよっ!」
「井上、コンドーさんの用意はいいか?」
「はい尾方先輩。さっきドラッグストアでダース仕入れて来ました」
「はい、よーい、スタート!」
「待て待て待て」
「カットぉー!」
「何でだよ」
「何がだよ?」
「おかしいだろ?」
「そんな事は無い。この世の男女全てが営んでいる行為だ」
「そう言う問題じゃ無いわっ!」
「ちゃんとモザイク入れるから」
「それ以前の問題なのよっ!!」
「大丈夫。サラちゃんのおっぱいなら見慣れてるから」
「何ですってっ!? シム、アンタねぇぇぇ!!」
「すまん、小銭が欲しくってな」
「一億円よ! 一億円!!」
「高っか!!」
「まさかとは思うんだけど、あなた達、私の裸の動画を」
「はい、毎晩オカズにしています」
くらっ
ばたっ
「サラさん、大丈夫ですか?」
「あー、こりゃ気絶してるな」
「チャンスですね」
「井上、コイツの服を脱がせろ」
「了解です」
「おい、何をやっている?」
「濡れ場を撮るんだよ」
「どう言う設定だよ?」
「お前が痴女で、シムの身体を弄ぶんだ」
「サラが起きたら殺されるぞ」
「じゃあ、縛っておこう。井上、亀甲縛り準備」
「尾方先輩、了解です!」
ギシギシギシ
「うん? こ、これは! う、動きが取れないっ!」
「よし今だっ!」
コキコキコキ
「ナニしてるのよっ!」
「こうすりゃ勃つだろ」
「や、やめてぇっ!」
「お」
「来ましたね」
「な、何でよぉっ!!」
「さっき、サラさんの渋茶にバイアグラを粉状にして仕込んでおいたんですよね」
「ひ、卑怯だわ!」
「おい、シム。準備はいいか?」
「何だか気が進まないんだが」
「濡れてるか?」
「一応な」
「いやぁっ!!」
ばちん
「ん? 電気が」
「消えましたね。停電でしょうか?」
「あ、そう言えば今月の電気代、払うの忘れてた」
「どうしますか?」
「赤外線撮影に切り替える」
「なるほど、臨場感が出ますね」
がぶり
いってーっ!!
「どうしたんだ?」
「サラが僕のおっぱいにかじりついているんだーっ」
「ふぉのわわをふぉふぉななひほ、ふひひひっへはるんははら」
「なんて言ってるんだ?」
「ど、どうやらサラは自分のおっぱいを食いちぎるらしい。うっ」
「おー、リアルなドキュメンタリーが撮れるぞ! 井上、血糊スタンバイ!」
「オーケーです」
「ふ、ふざけてないで、早くサラの縄を解いてくれよぉっ!!」
はぁはぁはぁ
「さあて、どうしたものか」
「もう知らないっ! 私出てくっ!」
「サラさん、いいんですかねぇ?」
「何がよ?」
「おい井上。お前脱いでサオ師やれ」
「喜んで!」
「やめてーっ!」
「状況を理解してくれたみたいですね、サラさん?」
「孫子の代まで呪ってやるわっ!」
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