第5話 パラドックス

 結局四人で話し合った上で出た解決策は、


 チリンチリン


「やー、気持ちイイ」

「お、おい。あまり揺らすな」

「だって風があまりにも清々しくて」

「ちょ、立つな!」


♬マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン〜♬


「なんでタイタニックなんだよ?」

「この姿勢と言えばコレしかないでしょ?」

「ちょ、ムネを当てるな!」

「ほ〜ら、ボインボイ〜ン。勃っちゃった?」

「ふざけるな!」

「あやしーんだ、ドーテー君」

「それ、今度言ったらお前のおっぱい、クラウドで晒す」

「やめてって言ってるでしょっ! このスケベっ!!」


 ぐら


「あっ!」

「ああっ!」


 どってーん


「あいたたた」

「もう、何なのよっ!」


「どうだ、戻ったか?」

「何が?」

「やっぱりダメか」

「大体、どーゆープランなんだよ?」

「一応セオリー通りにやってみたつもりだが?」

「これはマンガやアニメとは訳が違うの! もっと現実を見て!」

「そう言われてもなあ」

「そうですよ。ここはありとあらゆる方法を実践するべきです」

「と言う事は、次はアレか」

「アレですね」

「お前らの『アレ』は嫌な予感しかしないんだが」

「ねえ、アレってなんなのよ?」

「河川敷に行って、走りながら川に飛び込むんだよ」

「『時かけ』じゃないのよ」

「結構アレは効くと思うんだけどな」

「しかし夏とは言え、濡れたら風邪を引きそうだ」

「じゃあ、今度にするか」


 ***


 結局その日はいい案も浮かばず、そのままお開きになったわ。私はシムのアパートに戻ると、パソコンを開いて何か参考になるサイトがないか検索し始めたの。


 うーん、小説や漫画なら色々とたくさん出てくるんだけど、さすがに実体験の例は見つからないなぁ。へぇー、こう言うのって『トランス・セクシャル』って言うんだ。略して『T S』かぁ。他にシムのフォルダに何か入ってないか見てみよう。


「!」


 ヤダこれ、エッチな動画が一杯じゃない! まあ、年頃の男の子だし、当たり前の事だとは思うけど、このジャンルの広さと量にはヒいてしまうわ。さすが筋金入りのドーテー君ね。えーっと、一番再生回数が多いのはっと。「失われた楽園」か。何だ、結構マトモなの見てるじゃない。私も見ようっと。


「愛してるのは君だけだよ」

「私もそうよ。ねえ、これからどうするの?」


 そうそう、これは不倫モノってテレビで宣伝してたわね。まったく、どうしてこの世の男性は不倫なんてしたがるのかしら? まあ、私のパパも奥さんいるけど、パパの場合は完璧に夫婦レスだから、私はただのセックス相手みたいな物よね。セックスと言えば、


「んんん?」


 何だか股間が大きくなって来たわ。やだコレ、パパのより大きい! ちょっとパンツを脱いで確かめちゃお。うわ、カチカチじゃないのよ。それに握るとすごく気持ちがいいわ。パパにしてあげてる時も、パパはこんな気持ちだったんだ。左手で握りながら上下運動していたら、どんどん大きくなって亀頭が赤く膨らんできたわ。ああ、もうガマンできないっ!


 あー、出ちゃった。すごい量ね。昨日の夢精の量もかなりだったけど、やっぱり若いってこう言う物なのかしら。それにしても何て言う快感なの? 私がイク時とは比べ物にならないくらいの達成感があるわ。えい、気持ちイイからもっかいシちゃお♡


 ***


 あーあ、どうしてこんな事になったんだ? 本当にマンガやアニメじゃあるまいし、今時のラノベだってこんな設定はありふれている。こんな陳腐な設定じゃ、今時の目の肥えた読者は食い付きもしないだろう。お、アイツ、レディコミなんか読んでやがる。ちょっと拝借。


 んんんんん?


 何だコレ? 結構ヤらしいなぁ。今時のオンナはこんなのを読んでいるのかよ。これじゃサラがビッチになるのも無理ねーわ。この僕の100年の恋も覚めそうだ。でも結構面白いモンだな。どれどれ。


 うわー、すげーハードじゃん。あれ、何だか股間が熱くなって来た。どれ、お? なんか濡れてるぞ。びしょびしょじゃんかよ。パンティ脱いで直接っ触って見よう。


 ううううう!


 おー、気持ちいいな。おや、こんな所に電マがあるぞ。よし、ちょっと使ってみるか。


 ぶぶぶぶぶ


 んんっ! すげぇな、クリトリスに当てると身体中がジンジンして来たぞ。まるで電気が駆け巡ってるみたいだ。


 ああっ!

 くたー


 そうか、これが『イク』って言うヤツか。何だか病みつきになりそうだな。ええい、もう一回スルか。


 ***


 翌日。


「ちょっとシム。何なの、その目の下のクマは?」

「サラこそ。目が真っ赤に充血してるぜ」

「こ、これはっ!」

「お前、まさか?」

「シムこそまさか?」

「シたのか?」

「あなたもなの?」


 %$#@<>54507968sinθ cosθ tanθ・・・


 ぷしゅー

 ぷしゅー


「ま、まあアレだよな」

「そ、そうね。アレよね」

「せ。生理現象っつーの?」

「それそれ」

「出さねーと、健康衛生上よくないし」

「お肌のツヤにも関わるわ」

「サラ、週何くらいであのオヤジとヤってるんだ?」

「そ、そんなの私の勝手でしょ!」

「そうは行かねーよ。これからしばらくは僕が相手するんだし」

「う。ま、毎週土日と水曜日の夜。それに時々ラインに連絡が来るわ」

「あんなオヤジとヤルの、気が進まねーな」

「いいでしょ。イッパイお金もらえるんだし」

「このビッチ」

「ドーテーのくせに」

「おいっ!」

「あ、ごめん。お願いだから私の恥ずかしい画像を撮るのはやめてよね」

「へへへ。これでサラの弱みを握ったぜ」

「シムのアソコを晒してもいいのよ」

「それは困る」

「じゃあ、お互いにナシって事で」

「それしかないな」


 こうして僕たちは、お互いの秘密を共有する事で親密さを増して行った。これは誓って言える事だが、僕は決してこんな関係を望んでいた訳じゃない。出来ればもっと純粋な恋愛がしたかったんだぁっ!!

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