その七 ビデオカメラが捉えたもの

 今日の待ち合わせ場所は公園だ。そこから近くの喫茶店に行く。相手は予定よりも早く来ていた。

「あれが原爆ドームなのか、初めて見るよ。俺の地元も、ひめゆりの塔ってのがあってね…。」

 その辺の云々の話はここでは割愛しよう。

「初めまして、熊谷くまがい良子りょうこだ。今日はよろしく」

 あまり女性っぽい話し方ではない女子大生。頭は良いらしいが。

 良子は手に、ビデオカメラを持っている。

「それは、取材を撮影するため?」

「いいや。これから話すことに関連するから持って来た」

 ネットでやり取りした時に、映像がどうのこうのって言っていたな。それを見せてくれるとは、ありがたい。

「じゃあ話そう。私が高1の時の話だ」

 良子は話を始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る