結局何もなかったと言うことになって、家に帰って来た。どうして遅くなったか親に怪しまれたが、補講があったと嘘を吐いた。帰宅時はそれで誤魔化せたが、もう寝ようという時になって親が自分の部屋のドアを叩いた。

「玲歌! あの灯台に行ったんだって! 出てきなさい!」

 アタシは素直に部屋から出た。

「友達がどうしてもって言うから。でもあた…」

 言い終る前に頬を叩かれた。そしてすぐにそこを撫でられた。

「あそこには、もう行っては駄目。わかった?」

「お母さん。どうしてなの? あそこに何があるの?」

 アタシは疑問をぶつけた。でも母は、

「教えられない。もう寝なさい」

 口を塞いだ。


 次の日の朝のホームルームの前に、どうしてバレたかわかった。Aが家族に、自慢げに話をしたかららしい。そこから誰と行ったのかを白状させられ、アタシのところにも連絡が来たのだ。

「あそこまで怒るっつーことはよ、やっぱ何かあるぜ」

 Aは全く反省して無かった。

「どうする? 今日家を出る前に父さんが電話してたんだけど、あの灯台の近くをフェンスで囲んだ方がいいんじゃないかって。俺たちみたいな何も知らない若者が勝手に入ると困るから」

 Bが言うのを聞くとCが、

「じゃあよ、さっさとしないと行けなくなるのか。なら今日にでももう一回、行ってみようぜ」

 と言った。流石にアタシはここで止めるべきと判断した。

「絶対にやめた方がいい。だって近くに行ったってだけで、こんな騒ぎになってるんだよ? 何かあってからじゃ遅い」

 アタシはDとEの方を見た。初めは行くことに抵抗を感じていた彼女たちなら味方してくれると思ったからだ。

 だが、

「私も行く」

 そう言った。2人によれば、昨日の夜にこっぴどく怒られたらしい。それに腹を立てているので、一度親を思いっきり心配させてやりたいとのこと。この時のDとEはやけに積極的だった。

「玲歌も行くだろ?」

 5人が行くと言うのなら、案内したアタシも行かないわけにはいかない。

「…行くわよ」

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