第30話 怪盗が来る―8

 俺たちは集めた話しをまとめる。

 ①怪盗目的で展示会に参加する。

 ②展示品の持ち主(大越)はステージ上で亡くなる。

 ③被害者の右手の甲に何者かによる他殺の跡が見つかる。

 ④容疑者、被害者の秘書:新井勝あらい まさる

           客:野中のなかまゆみ

         警備員:大竹おおたけまもる

 ⑤容疑者三人とも鋭利な物、壊れたボールペン、欠けたピアス、ネームプレートを止める安全ピン。

 以上が集めた情報、そして目の前に置かれた袋。

 袋の中にはシャロが見つけた証拠。


「さてここまで出そろったがあと一歩足りない」

「容疑者もそろって証拠も出てきた、残るは犯人と証拠」


 俺と黒子はこれまでの情報を書き出したノートに目を落とす。

 書き出した情報から見えてくるものは証拠。犯人がわかっても証拠がなければ何もならない。


「あ、ボールペンでないです」

「どれどれ、分解して見てみよう」


 瑠奈はシャロからボールペンを預かり先端を回し、中身の芯を取り出す。


「あーこれは微妙だね。書けるかどうかの残りだね」

「それなら俺の使うか、シャロが使うボールペンと同じのだし」

「あら、いつの間にお揃いの物を買ったのかしら」

「別に買い物行ったついでに買って来て貰っただけだ」

「あら、残念。2人の浮気の証拠になると思ったのに」

「何が浮気の証拠だ、健全なお揃いだ」

「それじゃこれも分解したら中身は同じなんだね」

「瑠奈はいきなり何を言っているんだ?」

「いや、同じ物でも中身が違ったら困るなって思って」

「同じ黒一色のボールペンだ。なんなら分解して中身見るか?」

「誠君がいいなら分解するね」


 瑠奈は俺からボールペンを取り上げると中身を慣れた手つきで取り出す。


「同じ黒だね」

「そう、黒なのね」

「黒だが、俺が黒なわけじゃないからな黒子」


 黒子は笑みは本当に心臓に悪い。

 瑠奈は俺から借りたボールペンをシャロのボールペンへと中身を入れ替えているし。


「はい、シャロちゃん。これで使えるよ」

「ありがとうございます」

「それで、シャロちゃんは犯人わかった?」

「はい。犯人はわかったのですが、殺人の方法がわからないのです」

「そうなんだ。あたしは殺人の方法はわかったよ」

「あら、ならわたくしは動機はわかったわよ」


 シャロは犯人、瑠奈は方法、黒子は動機。

 三人それぞれわかる琴とわからない事。これが助け合い。


「それじゃ一斉に指を指してみるか?」


 俺の提案に頷く三人。

 せーの、でノートに書かれた名前に指をさす。



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