第23話 怪盗が来るー1

 朝のニュースは学校でも話題だった。


「怪盗だって」

「この前学校にも出たのにね」

「それにしても最近多いよね」

「カッコイイからいいけど」


 学校でも世間でも怪盗は有名人。

 カッコイイ存在。行動が謎に多いと話題だ。

 まあ、その正体は、


「あ、おはよーう」


 のんきに挨拶を済ませる瑠奈が世間を騒がせる怪盗だ。


「それでこの世間を騒がした張本人は何をしているの」

「いきなり出てくるなよ。黒子」

「それは悪かったわ、でも彼女が怪盗だと知っているのは私と誠だけ」


 そう、瑠奈が怪盗だと知っているのは俺と黒子だけ。

 シャロにはこの事を黙っている。シャロに瑠奈が怪盗だと正体が判明すると何が起こるのか、わからない。


「怪盗、それにしても世間を騒がす者が2人現れるとはね」

「現在進行形で世間を騒がす怪盗はアイツじゃない」

「その根拠は?」

「アイツが瑠奈が、違うって」

「相変わらずのお人よしね」

「それが俺だからな」

「そうね。嫌いじゃないわ」


 黒子はそう言い残し俺から離れて行った。


 + + + + + + + + + +


「あ、お帰りなさい誠さん」

「ああ」


 教室に戻ると誰よりも先に俺の元にやって来るシャロ。

 さっき、黒子と話したことは黙ってないと。


「それにしても世間も学校も怪盗で盛り上がってます」

「仕方ないだろう。このご時世に生まれた怪盗だ、誰だって盛り上がるだろ」

「誠さんも怪盗の味方なのですね」

「味方も何もないだろう」


 瑠奈の仕事を手伝っているとは言えないな。

 やはり探偵と怪盗は相反する者同士なのか。


「それでしたら、誠さんは探偵の味方なのですね」

「探偵ってより、シャロの味方だな」

「……そう、なのですか」


 喜んでいるみたいだ。

 これでシャロの疑いも消えただろう。


「校内の怪盗より恋愛模様、いいネタだにゃ!」

「って、あたなたは誰ですか!」

「ああ、三毛さん」

「にゃー、お久しぶりです」

「ああ、誠さんと瑠奈さんがお世話になった新聞部部長さん」

「そうにゃ。お世話しました」

「いやいや、そんなにお世話になってないでしょ」


 せいぜい三毛さんには野球部の事件の情報を聞いただけだ。

 そいえばあの時の野球部の話しでも怪盗がでてきたな。


「そういえば明日、怪盗が現れる日ですにゃ」

「明日、だったのか」

「どうですにゃ?」

「どうとは」

「怪盗を捕まえに行きますかにゃ」

「おい、そういうと」


「行きます!」


「ほら、こうなる」

「怪盗を捕まえたら有名になれます」

「そうですね、有名になれまにゃ」

「誠さん明日行きましょう」

「いやいや、招待状も何もないのに入れないだろ」

「大丈夫ですにゃ。怪盗が現れる会場は一般公開されるみたいですにゃ」

「一般公開って、怪盗が来るっていうのに」

「そうなったら行きましょう!明日行きましょう!」

「マジかよ・・・・・・」


 シャロは俺の顔をすごい興奮した顔で見てくる。

 明日怪盗が来る会場に行くことになった。

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