怪盗に殺された

第22話 朝の朝食

「・・・・・・んー」


 唐突に眠気を妨げる音楽。

 手を伸ばし音源を止める。

 スマホの目覚ましを止め目を開ける。


「ふぁー、朝か・・・・・・」


 ボーとする頭を何とか動かしカーテンを開ける。

 窓からの日光に焼かれそうになりながら覚醒する。着替えを済ましリビングに向かう。

 リビングからいい匂いがする。朝は毎朝パンと決まっている。


「あ、おはようございます誠さん」

「おはようシャロ」


 制服にエプロン姿で台所で朝食のお供のおかずを作っていた。

 今日は目玉焼きとソーセージ。


「すみませんが瑠奈さんと黒子さんを起こしてきてもらってもいいですか」

「了解」


 俺はリビングから二階に向かう。

 始めは瑠奈から。

 ドアのノックを忘れない。これでも女子の部屋に入るからな。

 返事がない。

 まだ寝ているな。


「瑠奈、入るぞー」


 しっかり確認をしたからな。

 部屋に入るとベットと机、タンスと物が少ない。

 ベットを見ると丸まった山がある。ベットに近づく。


「おーい、瑠奈朝だぞー」

「・・・・・・うーん」


 もぞもぞ動く。

 これは、起きないな。カーテンを開け日光を注ぎ込む。


「今お前の布団に日光が直接当たっているから暖かいだろ」

「うーん・・・・・・暑い!」


 布団をガバッと捨て、パジャマ姿の瑠奈が現れた。


「おはよう、瑠奈」

「うん。おはよう、誠君」

「支度しろよ、シャロが朝ごはん準備しているから」

「うん!」


 さて、瑠奈は起きたから次は隣の部屋の黒子か。

 瑠奈の部屋を出ると人影が現れた。


「おはよう、誠」

「ああ、おはよう」


 黒子だった。

 いきなり現れて驚いた。


「今から起こそとしていたのに」

「それは待っていれば面白かった、かな」


 笑みを見せる。


「面白がらなくってもいい。ほらシャロが待ってる」


 俺はすぐに下に向かう。

 黒子は制服に着替えているということはかなり前から起きていたな。

 それにしてもあの笑みが朝から恐怖だった。


「あ、誠」

「おはよう、明加」


 階段降りてすぐ明加と合った。

 珍しい。こいつがこの時間に起きるなんて。いつも登校時間にシャロが起こしに行くのに。


「はい、新聞」

「おお、俺の毎朝の仕事を変わりにありがとう」


 明加を連れリビングに行くと驚くシャロ。朝のニュースを見ながら今日は寮全員で朝食をとる事ができた。

 珍しいこともあるんだな。


『珍しいことはあるんですね』


 ニュースキャスターが驚いた声をあげた。

 何かと思い俺たちはテレビの音量を上げる。


『怪盗がこの世にいるとは』


 怪盗?

 自然に目線を集める、朝ごはんを美味しそうに食べる少女。


「え、なに?」


 瑠奈、お前何をした。


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