第20話 言い訳と頑固

「それで、明加さんは何を運んでいたのですか?」


 シャロはドリンクバーで持ってきた紅茶を一口飲んで聞いた。

 明加が持ってきたコーヒーは冷めてきていた。


「……」


 明加はファミレスに入ってから口を尖らせそっぽを向いて20分は経つのではないか。

 シャロは明加の真正面に座り警察に連行された理由を聞こうとしている。

 瑠奈は明加の隣でオレンジジュースを飲んでなぜかニコニコしている。

 俺はシャロの隣でこの状況をどうするか悩んでいた。


「もう一度聞きます。明加さんは何を運んで警察に連行されたのですか」

「……」

「もー!こっちを見て話してください!」

「怒るなシャロ」

「ですが誠さん!これでは話しが進みません!」

「ねえねえ、シャロちゃん。食事頼んでいい?」

「もう少し待ってください、瑠奈さん!」

「はーい……お腹空いた」


 わかるぞ瑠奈。俺もお腹空いた。

 だけどこの明加が話すまでシャロから許可が下りないぞ。


「明加、リアカーなんてどこで手に入れたんだ?」

「……生徒会から部の予算として申請した」

「おいおい、いいのかよ」

「……問題ない。その後も使う予定だから」

「それでリアカーを部で買ったのは何か理由があってか?」

「……米菓荘に新しいその荷物」


 そっか、明加も明加なりに出迎える準備をしていたのか。


「だけどな明加、準備するのは一人だと大変だろ手伝うよ」

「……手伝って、くれるの」

「ああ、同じ家族だろ」


 明加はやっとこっちを向いてくれた。


「あ、ありがとう……」


 照れているのか最後は聞き取れなかった。

 明加の準備を手伝うことは決まった。


「だけど明加、シャロと瑠奈には言うことあるだろ」

「?」

「そこで首を傾げるな。二人とも心配していたんだぞ」

「そっか……。二人ともごめん」

「いいよ。明加ちゃんの準備あたしも手伝う!」

「私は、許しません」

「おい、シャロ」

「誠さんや瑠奈さんだけに手伝わせるなら許しません。私も手伝わせてくれるのでしたらゆるします」

「うん!シャロも手伝って」

「はい。手伝います」


 わだかまりは消え、笑いあう彼女たち。


「それでは食事としましょう」

「あたしはハンバーグ!」

「自分は和風定食」

「俺はラーメンだな」

「それでは私はこのマグロ丼とうどんのセットを」



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