第19話 呼ばれて謝り

「本当にすみません」

「これからは気をつけて」

「はい、よく言い聞かせます」

「よろしくね」

「はい、失礼します」


 俺は頭をぺこぺこ下げて謝っていた。


 +~+~+~+~+~+~+~+~+~+~


 今俺は引越しを終えた引越し家を見送りリビングでくつろいでいると携帯が鳴り出した。

 また黒子かと思ったら液晶画面に浮かび上がった名前は初明 明加はつめい  めいかだった。


「このやろう。おい!お前今どこに、え、警察ですか」


 文句を言おうと電話に出たら明加の声ではなく男性の声だった。事件に巻き込まれたのかと思ったが違った。


『この子があなたを電話で呼んでくれと言うので、電話を』

「はぁー、それで明加は」

『今警察署にいるから、迎えにきてくれないか』

「はい!すぐに行きます!」


 俺は誰にもいないのに敬礼して通話を切った。


「あれ、どうしたのですか?」


 台所からシャロが料理を持って現れた。

 そして少し俺の行動を怪しんでいた。


「明加が警察に呼ばれた」

「そうですか。では今日は外で食べましょう」

「え、いいのか」


 驚きだ、この寮はほとんどシャロが料理を作っている。

 一度聞いたことがある、「皆で寮で過ごしているんだから料理は当番制にしないか?」と言うと彼女は怒った。「確かに誠さんが作ってくれた手料理を食べることができるのは嬉しいですが、まずは私が手料理を食べて胃袋を掴ませてください!」と言うのでそれからシャロが寮の料理担当をしてくれている。

 それじゃ俺は何をしているかって?寮の掃除をおこなうようにしている。何もやらないのは気が引けるのもあり、掃除は得意だったからだ。


「いいですよ、今回は特別です。自室にいる瑠奈さんを呼んで来ます」


 と言いエプロンを外し二階に上がっていた。

 俺も部屋に戻り支度する。


「え、やったー!久々の外食だー!」


 二階では瑠奈の喜びが聞こえる。

 だけど飛び回るな、ホコリが落ちてくる。


 +~+~+~+~+~+~+~+~+~+~


「本当にすみません」

「これからは気をつけて」

「はい、よく言い聞かせます」

「よろしくね」

「はい、失礼します」


 頭を下げ明加を引き連れて警察を後にする。

 外では怒った顔をするシャロとワクワクしている瑠奈が待っていた。


「明加さん!なんで警察の補導されているのですか!」

「自分は悪くない……」

「なんですかその態度は!」

「まあまあ、落ち着け」


 シャロをなだめる。取りあえずこうなった理由を説明をする。

 明加はスマホに話しながらリアカーを引いているところ警察に職質された。

 そして無視した。

 まあ、スマホに話しながらリアカーを引いているのは良しとして。警察を無視すのは良くないな。

 それから何度か警察に呼び止められるが無視。

 何度も何度も話しをしようとする警察を無視した。警察が触れようとしたら払いのけたらしい。そこを警察は強引だが公務執行妨害として署へ連行。

 明加は警察で一言も話さず、俺を呼ぶように警察と言い合いになり警察が仕方なく俺を呼んだという。

 警察も警察だ。こいつのスマホを取り上げるのは良くなかったな。

 しかし、この常に白衣をまとい背が小さい問題児がバスジャック事件で俺にバスの操作を教えてくれた天才だとは誰も思わないだろう。





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