第18話 五人目

「では、黒子のお迎え会を始めたいと思います!」

「「「ようこそ、米菓荘へ!!!」」」


 俺の開始の挨拶ともにクラッカーを持ったシャロと瑠奈、明加めいかが鳴らす。


「ありがとう」


 笑みを浮かべる黒子は首から瑠奈製作の折り紙のメダルをさげている。

 机の上にはシャロが作った手料理の多くと明加のポン菓子。


「それでは食べましょう」

「いただきまーす」


 シャロの許可が出るなり我一番に挨拶をして美味しそうに食べる瑠奈。

 残りの面々も「いただきます」を言い食事をする。悪党の黒子さんもしっかり挨拶はするのですね。


「それにしても黒子がここに引っ越してくるとはな」

「ええ、あなた達といたほうが面白そうだから」

「さようですか。いきなり引越し家が大量の荷物を持ってきたときは驚いたぞ」


 俺は回想に入る。


 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


 それは一昨日のことだ、学校に帰ってくるなり寮の前にはトラックが停まっていた。話しを聞くと荷物を今日ここに運び込むように言われたようだ。

 引越し家さんから誰の荷物か名前を聞きすぐに携帯を取り出し連絡する。


「おい、説明をしてくれるか」

『いきなりの電話に開口一番になに?』

「とぼけるな、今寮の前にお前の名前で荷物が届いているんだが?」

『それは私の荷物ね』

「その理由は」

『そこに引越しをするからね』

「いきなりだな、おい」

『そうかしら。こっちはかなり前から進めていたけど』

「こっちには連絡きてないけど」

『明加にはしたわよ?』

「なんでアイツなんだよ!」

『なぜってたまたま近くにいたから、かしら』

「もういい、黒子お前はここに引っ越して来るのは間違いないんだな」

『ええ、手続きは済ましたわ』

「荷物は運んでもらうけど、それでいいか」

『ええ、荷物は部屋に運んでもらって、片付けは明日でもおこなうわ』

「わかった」


 電話を終え、取り合えず荷物は空いている部屋に運んでもらった。

 女子は二階となっていて部屋はかなり空いている。

 とりあえず瑠奈の隣でいいか。201号室に荷物を運んでもらった。

 その後帰ってきたシャロと瑠奈に現状の説明をしておく。これから住民が増えること、また騒がしくなると。

 すると瑠奈は、「それじゃお祝いだ!」と言い部屋で飾りつけを製作を始める。

 シャロは、「とりあえずご馳走を作りましょう」とすんなり受け入れた。

 俺だけか?俺だけがこの現状を理解できてないのは。

 ただただ引越しの作業を終わるまで眺めていた。


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