オカシナ、お菓子な、米菓荘

第17話 祝い

 この二週間は長く早かった。

 本屋では万引き犯を捕まえ、部活の盗難事件を解決、そして極めつけは先日のバスジャック事件だ。

 なぜか事件に巻き込まれる回数が多くなっている気がする。前まではこうではなかったのに。


「誠さん準備できましたか?」


 いろいろ考えているとシャロがエプロン姿で聞いてきた。


「この辺りは飾りつけはできたな」


 椅子を台に玄関を飾りつける。

 ついでにチカチカする電球も変えた。


「リビングは?」

「瑠奈さんが飾りを未だに製作中です」

「アイツはどれだけ作っているんだ」


 俺はシャロと共にリビングに行く。

 扉を開けたら顔面にもっふとした物が当たった。


「あ、ダメだよ誠君」

「これはなんだ瑠奈」


 顔に当たった物をどけながら作業する手を止めず顔だけ向けてくる瑠奈に優しく聞く。本当に優しく聞く。

 内心はイラついているけど。


「紙で作ったもふもふ」

「説明になっていない」

「あれだよ、紙を円柱にしてタコの足を作るみたいにほーそく切ったの」

「いやタコはこんなに足ないだろ」


 それにしても紙でここまでふわふわとしたものがつくれるのか?


「瑠奈さん飾りはそこまで作らなくっていいですよ」

「えー、もっともーと作って飾ろうよ」

「いえ、もう結構リビング飾り付けられているので」

「そう?」


 シャロがリビングを見るのを瑠奈も見る。

 壁一面に紙のリングが付けられている。


「それじゃ、部屋に飾ってくる!」

「あ、ちょっと!」


 瑠奈はたくさん紙のリングを持って飛び出していった。

 これは俺の部屋も飾られるな。


「さて、誠さん。邪魔な瑠奈さんもいなくなりましたので休憩しましょう」


 こっちを見て笑顔で言うなよ。

 まあ、確かに休憩するか。


 + + + + + + + + + +


「それにしてもまさかこっちに引っ越してくるなんて」

「そうだな」


 椅子に座ってシャロが持ってきた紅茶を飲む。

 シャロは紅茶がとても好きらしい。さらに家事洗濯も完璧。こいつが宇宙人だってことを忘れそうになる。いや、宇宙人だからできるのか?


 ドオオンー!


 庭から大きな音が聞こえた。

 窓が割れるかと思った。


「また、事件か」


 俺は窓を開け、音を立てた犯人に一言言う。


「何やっているんだ」

「ああ、誠か。今ポン菓子と言われるものを作ったんだ」

「ああ、なるほど」


 ポン菓子を作ったときの大きな音か。

 これは近隣迷惑だな。


「すごい出迎えね。私がいるときはやめてちょうだいね」


 声がしたほうを見るとキャスターが付いたスーツケースを持った黒子がいた。

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