第10話 話しだけではわからない
新聞部に堂々と宣言してから瑠奈の顔は笑っていた。
「それでこれからどこへ」
「どこって、それはやっぱりあそこでしょ」
瑠奈の後を着いて来て目的地がわかった。
問題の野球部だ。
「さて、どこかに暇な人はいないかな?」
暇な人って今は放課後だぞ。
放課後って言えば何かしら生徒はおこなっているだろ。暇な人は今この場にいる俺たちぐらいだろ。
「あ、いた!」
瑠奈は何かを見つけ走り出す。
そして何か右手に掴んで戻ってきた。
「はい、自己紹介お願い」
「自己紹介?私は野球部マネージャーの
暇な人を見つけたと思ったら、マネージャー連れて来たよこの人。
それに今何かしら忙しいのでは?
「さて、唐突だけど事件があった場所に連れてってくれる?」
「事件ってなんですか」
「ああ、ごめん。説明するよ、野球部で盗まれたホームランボールのことなんだけど」
説明下手な瑠奈の変わりに俺が説明する。
「そうでしたか、でもなぜあなた達がその事を調べているのですか」
「こう見えて俺たち、探偵部だから」
「事件あるところに、探偵部ってね」
謎のポーズをする瑠奈に一度目線を向けたらすぐ反らし、俺に話しかける。
「なるほど、探偵部。そんな部活がこの学校に」
おっと、これは認知度が低いのか。
まあ、事件を解いたのは二回だけだからな。
「まあ、いいや。それで事件現場はどこ」
「ああ、それなら今から向かうところでしたのご一緒に行きましょう」
マネージャーと共に歩き、事件の詳しい話しを聞くと新聞部長が言っていた通りのことだった。
「ここです。ボールが盗まれたのが」
案内されたのは色々な部活が部室を持つ通称〈部室棟《ぶしつとう》〉。
その一階の一番右の部屋だった。
「うーん、なるほど。部屋の鍵はこのダイヤル型の錠前だけ?」
「はい、学校の部室なので心配ないと思ったのですが」
瑠奈の質問に答えるマネージャーの顔が暗くなる。
「ちなみに、錠前の番号は」
「
「「な、なるほどー」」
よくそれでこれまで盗難に合わなかったな、と俺と瑠奈は心の中で思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます