第6話 おまたせしました!
本屋の奥の部屋に集められた、椅子に座る万引き犯とシャロに連れてこられた男の子、それを見張る店員二人、シャロと俺の計六人
シャロが今回の謎の説明を始める。
「犯行手順はこうです。最初に実行犯、そう彼です。万引き犯さんの
和樹と名前を反応を見せる男の子。
彼はこの万引き行為にとっても大切な存在であった。
「あなたはこの万引きの主犯者でもありますよね」
シャロは和樹に近づき言う。
「多くの方が本屋が万引きの被害に合っています。その本屋の防犯カメラを見るとどれにもあなたがいました」
「それはいるだろ、本屋なんだから」
「そうですね本屋にいるでしょう。しかし、その全てで立ち話をしますか?それも鞄を床に置いて」
「そ、それは……」
「さらに言うなら、床に置いた鞄を間違えていますよね?そんなことありますか。自分のと他人のを間違えるなんて」
シャロの威圧に負けたのか、黙り続ける和樹。
この事件はすごく単純。万引きの実行犯は本を鞄に入れ、出口に向かう途中で主犯の和樹と立ち話をする振りをして鞄を床に置く自然な行為をする。そして別れる際にまた自然な振りをして和樹は実行犯の鞄を持ち本屋を後にする。
残るのは何にも入ってない和樹の鞄。だから店員が万引き犯を捕まえても鞄の中から盗んだ物が出てこないわけだ。
「それで盗んだ本はどうしたんだ!」
店員が和樹に怒鳴る。
「たぶんですが盗んだ本はもう売り飛ばしているかと」
シャロが言うと小さく頷く和樹。
これが今回の事件の全体像だ。分かってしまえばなんともない。
「それで君はなんでこんなことを?」
俺はさっきから黙っている信也に話しかける。
「金が欲しかった。それだけだ」
「そっか」
金が欲しかった。
それだけで夢を潰すこいつは哀れに見えた。
「このことは警察に?」
「いや警察はやめとくよ。親御さんと学校に話しをするよ」
警察に連絡しないとかこの本屋優しすぎるでしょ。
「学校に連絡するのですか……それだけは!」
急に大声を出す信也に驚く一同。
「学校にばれたら俺は、試合に出れない。約束が守られらない」
泣きながら言う信也に困った顔をする店員。
「歯を食いしばりなさい」
シャロは信也の顔面を殴った。
もちろん大きな音とともに床に倒れこむ信也。
鼻から血を流している。歯も折れているんでは?
「自分が犯した罪を知りなさい。犯罪を犯し甘いことを言ってるじゃないですよ」
シャロの一言に諦めたのか下を向き黙る信也。和樹もなにか思って黙り込む。
この事件は本屋にまかせ、俺とシャロは本屋をあとにした。
+ + + + + + + + + +
「さすがだな」
本屋の帰り道。寮に向かう。
「なんですか突然」
「いやお前の推理力の凄さと犯罪を許さないことになんか尊敬した」
「そんなことないですよ」
照れているのかシャロは下を向き今の顔を見ることができない。
シャロと出合った日もこんな星が輝く夜だった。
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