第5話 謎解きは次回
ある本棚の前に立つ。
その中から一つ本を抜き取る。
まわりを見てから鞄にしまう。
誰にも見られてないことを確認してからその場から離れる。
「よお」
いつものように声をかけられ、鞄を床に下ろして立ち話を始める。
内容なんてどうでもいい。
この話をすることが大切なんだから。
「じゃあな」
相手と立ち話から解放される。
あとは、店の外に出るだけ。
「ちょっといいかな」
店に出るなり店員に呼び止められる。
これもわかっていたこと。
「いいですよ」
店員に言われるまま、彼は、万引き犯はまた店に戻ってきた。
「それで、どうしましたか?」
奥の部屋に連れて行かれた万引き犯は首を傾げ、少し頬が緩んでいる。
万引き犯を囲む店員と俺。
「君がおこなったことはわかっている」
「なにかやりましたっか?」
店員の言葉をバカにする態度をとる。
店員は少し不安になったのか俺に顔を向ける。
ここで、ここまで来て弱腰を見せたら相手の勝ちだ。
「もうじき全てがわかる」
俺は信じている。
この犯罪に勝てると分かっている。
万引き犯は少し表情を変えた。しかしすぐに戻す。
数分間、何もないまま奥の部屋で万引き犯と店員と俺の重たい沈黙が流れる。
「もうなにもないなら帰りますよ」
そう言って万引き犯が立ち上がろうとした瞬間。
バンッ!
大きな音とともに扉が開かれシャロが表れた。
「遅くなりました。もう一人が抵抗するので」
そう言ったシャロの後ろから別の店員に連れられ制服を着た男の子が入ってくる。
少し肩など汚れているが気にしない。
口の中が切れたのか血が出ているが気にしない。
「どうしてお前が!」
大きな声を出す万引き犯。
「それに怪我もしているのか」
こくりっと頷く男の子。
その隣で舌をだすシャロ。
俺はささっと話を進める。
「さあ、全員そろったんだ。今回の謎を解こう」
話を進める。そうしないとめんどくさくなる。
主にシャロのせいだが。
本屋の奥の部屋に集められた、椅子に座る万引き犯とシャロに連れてこられた男の子、それを見張る店員二人、シャロと俺の計六人
「今回の万引き行為は単純な犯行だったため店員も気がつかなかったでしょう」
俺は最初に説明を簡単にする。
店員がそれはなぜか聞いてきたため後はシャロにまかせた。
そもそもこの事件を見つけて、謎を解いたのもシャロなんだから。
「この万引きには最低でも二人、二人いなければ犯行することができないのです」
シャロに説明に店員二人は顔を合わせた。
「今から説明します」
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