第4話 一度あることは二度もある
万引き犯(仮)は身体チャックを受けすぐに開放された。
「クソッ、アイツあれで二度目だ」
店員が悔しがる。
俺は店員を見て、この人はこの本屋に人生をささげているんだと思った。
「今、二度目だといいましたか?」
シャロはさっきまでなにか考え事をしていたのか黙っていたが店員の一言に反応を見せた。
「ああ、アイツはこの店で万引き行為を見かけて連行したのが今回で二度目だ」
「前回も今回同様に身体チャックを?」
「いや、一度目はかばんの中身を見させてもらって確認した。その時も盗んだ物は無かったから解放した」
「それで今回は二度目と言うことで身体チェックもおこなったと」
「一度目は俺が何かの見間違いだと思い、また来たアイツを監視していたんだ」
本当に悔しそうにする店員。
「二度とも何か怪しい動きをしてないですか?」
「いや、物は前回は漫画だったし盗んだ物はばらばら。その後まっすぐ外に出ようとして、あ、そういえば」
「なにかあるのですね」
「ああ、二度とも外に出る前に誰かと会っている。まあ、ここは学校にすぐ近くにあるから誰かしらには会うとおもうけど」
「なるほど……実に面白い」
ニヤッと笑った顔。
この顔をするときは何かに気がついたときだ。
「二度あることは三度ある。また、彼は来ると思います」
「その時はまた捕まえるだけさ」
「それでしたら、私の言うとおりにしてくれますか。そうすれば真犯人も捕まえることができますから」
「真犯人、だと?」
「ええ、この謎は楽しませてもらいました」
そう言って部屋を後にするシャロ。
残された俺と店員。
「……」「……」
二人の間に流れる沈黙。
その沈黙を破るように部屋のドアが開かれる。
「なんで着いてきてくれないのですか。すごい自信でニヤついた顔で歩いてお店の外まで出ていってすごい恥ずかしかったですよ!」
シャロは顔を赤くして戻ってきた。
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