第3話 まさか
行きつけの本屋での万引き犯を目撃したと言う、シャロ。
その万引き犯は同じ学校の生徒だった。
「本当か?」
俺は疑問を抱く。
その疑問とは2つ。
1つは本当に万引きをしたのか。
まあ、シャロが嘘をつくことはないから本当だろう。
2つ目はどう確保するかだ。
「提案なのですが、お店の人に任せるこはしないのですか」
「そんなことをしたらつまらないです」
「ですよねー」
わかってました。シャロさんは自分で犯人を捕まえたいのですね。
手柄が欲しいというよりは、そのほうが面白いから。それがシャロ・ホームズの理念。
「あ、動きましたよ」
見失わないようにこっそり後ろから後を追う。
「どうやら出口に向かっているみたいだな」
この書店は上りはエスカレーター、下りは階段とちょっと不思議な建物になっている。
そのため階段を降りる万引き犯(仮)は出口に向かう。
「おー、買い物終わったか」
万引き犯(仮)は制服をきた学生に声をかけられた。
「おう、またせたな」
どうやら顔見知りなのか、二人はかばんを床に置き立ち話を始めた。
「どうする」
「このまま、万引き犯がお店の外に出るのを待ちましょう」
万引き犯を捕まえるのは大体は万引き犯が店の外に出てから取り押さえる。店の中で取り押さえても「今から買うとこでした」と言われ金を払い終わることが多いためだ。
「それじゃな」
話しを終えて別れる。
万引き犯(仮)はそのまま外に出る。
「はい、ちょっと待ってね」
俺たちより声をかけたのは店員だった。
「君のかばんの中の物見せてくれる」
「別にいいですよ」
万引き犯(仮)は素直に店員の要求に応じた。
そういえばと気になりシャロの方を見ると。
「うー、うー……」
最初に声をかけるはずが店員に良いところを取られたからなのか、顔を赤くして唸っていた。
「落ち着けよシャロ、店員に頼んで同行させてもらおう、なあ」
「……はい」
小さく頷き、俺は店員に事情を説明して一緒に万引き犯(仮)の話しを聞かせてもらえるようにしてもらえた。
最初は「なんだこいつ」みたいな顔をされたが、そこはごり押しでなんとか話しを通した。
「それで君の身体チェックをさせてもらうよ」
「どうぞ、気が済むまでいいですよ」
万引き犯(仮)の体を触り盗んだ物を隠してないか調べる。
体には隠してないようで、次にかばんを開けていいか聞くと、素直に承諾をした。
「素直すぎませんかね」
シャロが耳打ちしてくる。
確かに、さっきから素直にしたがっている。本当に取っているなら何かしらのアクションをおこしてもいい気がするが。
店員がかばんの中身をテーブルの上にぶちまける。
「携帯、財布、学生証、教科書と盗んだ物が入ってない」
店員の言葉に驚く。
俺もテーブルの上に乱雑された物を見たがシャロが言う盗んだ物がない。
「盗んだ物がない?これってりっぱな冤罪ですよね?」
万引き犯(仮)は笑みを浮かべた。
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