半吸血鬼と死にたがりの少女
半吸血鬼と死にたがりの少女
著者:詩架 様
作品url(https://kakuyomu.jp/works/1177354054880712907)
怪物のもとにやってくる自殺志願者の少女。
その「怪物」は、過去に自らの手で恋人を殺してしまっていた。
作品概要の時点でドラマの予感がバリバリします。
では、読みます。
この物語の主要人物は、誰もが傷を抱えています。
最愛の人と愛し合おうとして、図らずも吸血鬼の本能に呑まれ殺してしまったノエル。
婚約者の暴行に打ちのめされて、それがずっと続くことに気付いてしまい死を望むアリシア。
登場が遅く、この2人の陰に隠れてしまいがちですが、幼馴染の1人を失い、もう1人を殺しかけたギル。
ともに深い傷を負っていながら、傷の種類がまるで違うノエルとアリシアは好対照でした。
片や最初の行き違いこそあったものの、婚約者と愛をはぐくんで幸せな日々を送っていたノエル。
方や、添い遂げる運命にある婚約者から手ひどい暴行を受けているアリシア。
その境遇故に、2人の話がかみ合わないこともままあります。噛み合わないというか、婚約者との幸せな生活を知っているノエルが崖っぷちのアリシアを「もっとよく話し合ってみたら」などと諭す状況では、ノエルに悪意がないのがよけに悪い。ノエルに気持ちが傾きかけているにもかかわらず、アリシアが気分を害するには十分すぎる仕打ちです。
悪く言いたいのではありません。こういう祖語、好きです。
読み始めてしばらくは、ことあるごとに湧き上がる吸血衝動に少々しつこさを感じていました。
しかし、ノエルは長期にわたって人里を離れて暮らし、会う人間は数日に一回、物資を運んでくるギルひとり。人間の女の子(それも、捨て鉢で無防備)がいるとなれば、どうしようもないことでしょう。
惜しむらくは更新停止して長期間経っていることです。まさに役者がそろったところで更新が途切れており、非常に続きが気になります。明かされていない謎(失踪した画家と彼の残した人物画の詳細など)も、自分の予想があっているのか間違っているのか、違うならばどんな真実があるのか、やきもきさせられます。
でもその辺はしょうがないですもんね。
いい作品でした。
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