イノセントブラッド~誘拐犯は吸血鬼でした~
イノセントブラッド~誘拐犯は吸血鬼でした~
著者: 絢斗 様
作品url(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882750332)
テンプレではなくむしろ鉄板。
キャラクターも世界観も、ガチガチの鉄板です。褒めています。
ヴァンパイア! ダンピール! 対抗組織!
バトル! ラブコメ! シリアス!
鉄板と言わずに何と言いましょう。
吸血鬼ハンターや、ハンターたちの組織が活躍する作品は珍しくありません。鉄板です。
が、この作品で目新しいなと思ったのは「実際に吸血鬼と対峙した人間はほとんどいない」というところです。組織「クルースニク」の主な仕事は、「ヴァンパイアのなりそこない」であるグールと戦い、民間人を守ること。場数を踏んだベテラン職員でもあくまでそれは「対グール」の話。中には吸血鬼の実在を疑問視する声もあるとか……こんな対吸血鬼組織、今までにない!
吸血鬼の実在性の希薄さゆえに、ハーフのダンピールも希少な存在。吸血鬼を滅ぼす力を持っていると伝承にはありますが、実際に吸血鬼と対峙することすらない状況で、どこまで信じられる力なのか。そして、下手をしたら空想上の生き物を親に持つ、ダンピールの苦悩。
タイトルに「誘拐犯は吸血鬼でした」とあるとおり、ヒロイン(ダンピール)に一目惚れした吸血鬼が攫っていってしまいます。
ここからはヒロインが吸血鬼及びその家族と同居して、最初は不本意だったけれどほだされて、好きになって、幸せな気持ちを感じて――という、これも鉄板の流れを汲んでいます。
ただ私はヒロインの同期のみなさんを好きになってしまったので、ヒロインの幸せエピソードのあとに組織内での緊迫した話が来ると、なんか、こう、ねえ……! 対比としてはとても鮮やかなのですが、どうしても同期の皆さんにエールを送ってしまいます。
あとは、これから明らかになっていくのでしょうが、妹アリシアさんの周辺情報が気になります。
相棒のダグラスとはどうやって出会ったのか、とか。彼女の両親に対する感情はどんなものなのか、とか。
明らかになるその日が楽しみです。
ここから先は、オタクの繰り言として処理していただけると幸いです。
・グールとは何ぞや
頻繁に登場する雑魚(よりは強いか)敵、グール。これがよくわからないのです。
作中で「ヴァンパイアのなりそこない」などと言われており、ヴァンパイアに何らかの関係がある存在であることは間違いなさそうです。
しかし、どうやって発生するものなのでしょうか。
「腐った肉と血の混ざりあった味」と表現されることから、腐った死体のような怪物が連想されますが、彼らがそもそも死体かどうかすら明らかになっていません。
気になります。
・複雑すぎる血縁関係
私は好きです。こういうの。
でも短期間のうちにぼろぼろっといろんな情報が出てきましたので、「誰と誰が異父兄弟なんだ? あの子の父親誰なんだ」と、多少混乱しました。
しかしダンピールを扱うならば、血縁関係の吸血鬼は避けて通れぬもの。運命に翻弄される感もよく出ています。
・タグ「中世」?
俺の知ってる中世と違う(暴論)。
この作品、タグに「中世」が付いているのですが作中に電話があったり、安全装置付きの銃があったりします。ミネラルウォーターの記述もあります。
その世界観から「現代ではないどこか」であることは間違いなく拾えるのですが、中世ではないのでは……? と、ちょっと思ってしまいました。
文字数がっちり使ってくさしておいてなんですが。
面白かったです。
今晩はこれにて。
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