第18話ビクトリアの涙

 あまりにも唐突、そしてビクトリアには現実離れした単語。

 『ともだち』

 「友達って何よ!」

 いつもより人間のような表情になっているナナに目の前の事が本当に起きているのか混乱した、ナナを見上げてビクトリアは声を荒らげる。

 「楽しい事も辛い事も一緒に分かちあう人達。でも壊れやすい、だから大切な人」

 ビクトリアはアルバータとお花畑にいた。

 小さい頃のビクトリア、アルバータとは友達やお兄さんのような感じでいつも遊んでいた。

 デュゲリスの話のために遊べない事になると見境もなく大声で泣きわめいて夫を困らせる事もあった、それでま優しくしてくれた。

 お花の冠を作ったビクトリアはふわりとアルバータの頭にかけてあげた。

 「これは今日あたしと一緒にたくさん遊んでくれたご褒美だよ」

 小さなビクトリアは銀髪を複雑に編み込んだ頭にお花の冠をかぶっていて、横に頭を傾けると、一緒に冠も傾いた。

 夫と一緒に遊んだ楽しい思い出がアルバムをめくるように次から次へとよみがえってくる。

 その刹那、見よ!

 あれほど乱暴であったビクトリアの目に光るものが、彼女がずっと置き忘れてどこかに無くなってしまったであろう、ダイヤモンドより珍しい彼女の涙であった。

 「私はどうすれば……」溢れる涙を軍服の袖口でぬぐいながらひゃっくりを繰り返しなが言った。

 それまで黙っていたマリアがジェシカの後ろからビクトリアの元に歩いて行った。

 ひざまづいているビクトリアの顔にしゃがんで同じ目線にするとマリアは『め』っと相手の頭に小さくコツンして言った。

 「あなたはまずこの変な機械からナナを外して、ごめんなさいしなさい」

 真剣な眼差しで見つめ続けられたビクトリアは涙を拭きなながらコクリと頷き。

 鼻をすすった。

 そして芋虫のようにはっていた、ギアはその前に病院連れてってっと念じた。

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