第17話お友達

 「そろそろわっちの弟子と可愛いお友達を返してもらうぞ」

 カチリと金属音を響かせながら、小さい体に不釣り合いな大きな火器を抱えたジェシカは、今にも火をふきそうな銃口をビクトリアに向けている。

 ぐぬぬと顔を赤くしてうめくビクトリア。

 だが怒っている訳では無かった、顔を上げた彼女はなんと笑っている。

 「この人形は爆発する事を知らなかったようね」

 そこにいた者全員がハッと息をのむ、ビクトリアはナナの首のあたりに何やら小さなネジをまくとガシャガシャと金属が擦れあう音が響きものすごい量の真っ白な煙が辺りを包みこむ。

 煙がはれて、辺りが見えるようになるとナナの胸が開き、そこにはピーコックグリーンの液体が入った球体が心臓の辺りに嵌め込まれて怪しく光っていた。

 「これがこいつがマナワールを蓄積させるコアよ!」

 その光る球体に火器を向ける幼王。

 「ここが破壊されればこの部屋もろともお前達を吹き飛ばす事ができる。私もいっしょにね」

 ギアは顔をしかめ、ジェシカとマリアも何も出来ずに火器の銃口を下に向けた瞬間。

 ビクトリアの周りに光の壁が現れた。

 慌てた彼女はおろおろした表情をした。

 その姿を見るとまだあどけなさが残っているのが分かる。

 ナナが彼女を光の壁で閉じ込めたのだ。

 「どうして、あいつらに肩入れするの!?」

 皇帝は嗚咽をもらしながら泣いていた。

 ナナはぐっと一回目を閉じるとゆっくりそのまなこを半分開く。

 その姿は聖なる母の像を連想させた。

 「あなたは前のご主人の持ち物だった私を無くしたくないと思っている、それと同時にあなたの前の皇帝で夫であるアルバータを思い出すので私を嫌っている」

 ぐうっとビクトリアはナナが自分の気持ちを当てたので驚きその後怒りを覚えた。

 「あなたは、人形、兵器、怪物、減らず口をたたく……」

 ナナがニッコリ笑っている!

 ギアもジェシカもマリアも初めて見るナナの笑顔。

 「私はギアのジェシカのマリアのお友達、あなたの人形でもなんでもないあなたともお友達にはなれるわ」

 

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