第16話真打ち

 ギアは変わり果てた姿のナナに触れようとした。

だがまるでそこだけ大きな重力がのしかかっているように腕が上がらない。

 「触れたいんだろ?」

 冷酷無慈悲なビクトリアは倒れているギアの腕を強引に掴んで、ナナに取り付いている歯車と歯車の間にギアの指をねじり混む。

 昔行われていたと言われる魔女裁判で使われたサムスクリューという拷問器のようにギアの指をボロボロにした。

 「_______!!」

 声にもならない悲鳴をあげてギアは歯を食いしばり汗がどんどんと流れてくる。

 その表情を見てビクトリアは目をひんむき(彼女は多少目が飛び出ている)

 興奮して舌なめずりをして顔は赤くなっていた。

 その後はっと我に帰ったビクトリアはギアを指差してナナに命令を下した。

 「さぁ、奴の動きを止めたぞ、とどめをさせ」

 ビクトリアはつばきを飛ばし、ギアを指差す。

 それでもナナはどこか寂しそうにギアを見つめるだけだった。

 痺れをきらしたビクトリアはナナの歯車のように冷たく無機質な床を軍靴で踏み鳴らし、それに合わせてオレンジの火花がカツカツ音を鳴らす。

 「だったら私が息のねを止めてやる」

 ホルスターから火器を取り出してギアのこめかみに銃口を向けた。

 ギアは火器の冷たいという感覚さえ麻痺して感じない。

 その時、ナナがガツンと歯車を逆回転させ、ギアの挟まった指を解放してやった。

そして声をはっした。いつもの鈴のなるような声だがどこか力強い声。

 「私はギアを殺させない、人を殺す兵器は嫌、私はギアの事が好き」

 その場が一瞬止まった、この帝国ではこのような現象を『妖精が通った』と呼ばれる、まさにそれが起きたのだ。

 弾かれたようにビクトリアは声を出した。

 「お前は人形……兵器よ! 人を好きになんかならない、分かったか!」

 ビクトリアは彼女のさっきの言葉が幻聴のようだと思ったがハッとあることに気づいた。

 「分かった! あのパンツ女とボロメイドがお前を改造したのね!」

 その時鋼鉄の扉がぶっ飛びそのためにひしゃげたそれは床にガランガランと小気味のいい音を奏でる。

 「これはパンツではないズボンじゃ」

 扉をぶっ飛ばした本人大きい火器大きいガトリングガンを持ったジェシカとマリアが仁王立ちしていた。

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