第15話カッコ悪くたって
ギアは先祖の話を聞いてショックを隠せない上にナナの変わり果てた姿を見て驚愕する。
歯車に嵌め込まれてしまったナナは、破壊されていない方の目を半開きにして下を向いていた、両手は繋がれて、足も一つに揃えられこれまた歯車と同化していた。ちょうど十字架に磔にされたような形となっていた、ギッカッシャ、ギッカッシャと唸るように歯車と歯車が軋み回っている。
「これが帝国最強の無敵スチームマナロイドよ」
ギアの口の中には血の味がまだ残っている、意識が遠退き、ナナの顔の輪郭がぼやけてくる、ポケットからウメコンブが一つ落ちた。
「さぁ古代人ジンフィアの技術の結晶と我が夫の新しい兵器で最強になったマナロイドよ! そいつにとどめを!」
しかし、ウメコンブを見てナナは動かず動揺を隠しきれないでいる。
戸惑ったのはビクトリアも同じであった。
「何をためらっているの!?」
マナワールによって強化された大砲を取り付けたナナは何かを思い出しそうになっている。
「お前は人形、兵器よ! こんな奴すぐに消す事ができるでしょ!!」
ビクトリアはヒステリックに頭をかきむしる。
「違う、君は、心のある優しい女の子、名前はナナ」
芋虫のように這うようにしているギア、その姿はとてもかっこよくはない。
かっこよくない? それがどうしたというんだ!
ギアはふつふつと怒りを顕にした。
自分の不甲斐なさに、女の子を守れなかった事に、拘束された彼女を目の当たりにして、地に這いつくばっる事しか出来ない、自分に。
かっこ悪くても血まみれになろうとも彼女を元に戻す、何故か、一緒にいて彼女は普通の人間だと分かったから、友達になった、それが人を殺す兵器にされようとしてる。
「僕は彼女を助ける」
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