第12話侵入
「僕は探さなきゃいけない、ここで止まっていてはだめなんだ」
ギアはかのクロムウェルの名前に恥じないように誰かを助けようと決心していたが、今の状況から言うと敵に後ろを見せてはいけないという信念は諦めた。
追いかけてくる兵士から逃げている。
ここは、帝国のバッキンガムここは美しい豪奢な作りとなっている、ただし地下にはなにか嫌なものが作られているらしいと言われていた。
とにもかくにもギアはその地下の下水菅をつたって侵入したものの貧相な顔とボロボロのフォントルロイスーツが怪しさを物凄く醸しだしていたので、すぐに帝国兵に見つかり追いかけられてスッ転んだこの宮殿の廊下は大理石で出来ていてとても硬くて冷たいと思った。
(王子様がこんな所で転ぶなんて、情けないなぁ)
ギアが地面に激突してキザなセリフをはいたが、真紅のバラのような鼻血をたらした。
(バラ戦争のランカスター家みたいだ、あれ? ヨーク家だったかな? バラ戦争はややこしいのでなかなか分かりにくい、そしてこの事は今は関係ない)
帝国兵は物騒な巨大火器を両手で抱えている、軍服姿の小柄な帝国兵、そしてその隣にはもう一人の帝国兵が蒸気の力でごはんを炊くのではないが蒸気の力で連続で弾丸を発射できるガトリングガンを持っていて、その二人は軍帽を目深に被っているが、不自然だ、あれ? とギアが思っていたら帽子を軽やかにそれこそバラの花びらが舞うようにジェシカの顔を現す。
もう一人はその相棒マリアであった。
変装していた時に軍服の下がパンツ(彼女はズボンと言っている)じてんで察するべきだった。
「よく、一人で侵入したなでかしたそれでこそ我が弟子さぁ、ナナを取り戻すぞ」
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